ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

ノンケに生まれ変わりたい<20>

少し前から好きな人がいる。
最初の頃は仲のいい友達とか思っていなかった。
でも彼は私が辛い時にいつも側にいて優しくしてくれた。
気がつくと彼のことが好きになっていた。
でも、彼は私のことが好きじゃないと思う。

実際には文章が半端なくて、原稿用紙5枚以上はあった。もはや日記に書くレベルの文量ではなかった。そして大学の同級生が日記を読めば、誰に対して書いているのかは一目瞭然だった。

これ……間違いないボクに対して書いてるよね?

今までのことは、ボクの痛い勘違いで、彼女は別の男性のことが好きだという希望的観測をしてみたけど、どう考えてもボクに対して書いているとしか思えなかった。

どうコメントをつけたらいいのだろう。

こんな時に限って、いつも気軽にコメントしている連中は、何も書いてくれなかった。みんな固唾を飲んで、ボクがコメントを書くのを楽しみにしているようだった。

これは彼女からの出された「踏み絵」のようなものだった。

それくらいに切迫した内容が綴られいた。ここまで赤裸々に公開の場で書いているということは、最後の賭けに出ているように感じた。

いっそ読まなかったことにして、コメントをしないで無視しようか?

そうも考えたけど、「MIXI」には、誰が自分のページに訪れたのか、足跡を残す機能がついている。このおせっかいな機能のおかげで無視すれば気がつくだろう。

彼女の日記を、何度か読み直してじっくり考えてみた。

でも、彼は私のことが好きじゃないと思う。

そうだ。彼女はちゃんと気がついている。

ボクは彼女のことが好きだ。

でも彼女が求めているのとは、もっと別の「好き」という意味だった。

彼女のことは「友達」として好きだ。

ボクが抱ける感情はそこまでだった。

彼女と肉体関係を持ちたいと思ったことがなかった。それにレンタルビデオ店のバイトで、AVを棚に返却していて、沢山の女性のヌード画像を見てきたけど、やっぱり一度も興奮したことがなかった。

もしボクがノンケだったら、彼女から告白されたら嬉しかったろうな。

子供の頃。夕方まで遊んで家に帰る途中、住宅街の家々から晩御飯の匂いや、家族団欒で話す声や物音を聞きながら歩いていた。ボクにも帰る家があって両親や兄や犬が待ってくれていた。そして家に帰って、ご飯を食べて、風呂に入って、布団に入ってぐっすり寝ていた。同じ屋根の下には家族が一緒にいた。当時は何の疑いもなく、いつか自分も大人になって、皆と同じように家庭を築いていくんだと思っていた。

でも中学時代に同性を好きになってから、皆と同じように生きるのが無理だということに徐々に気がついていった。

この先、どう生きればいいんだろう?

そうやって不安になっていた。

もし彼女を好きになれたら諦めつつあった物を取り戻すことができるかもしれないと思った。彼女と付き合って、結婚して、子供も作って、家庭を築けたら、そしたら両親も喜ぶだろう。

でも彼女から好意を示されても、ボクには迷惑としか思えなかった。

ボクはやっぱりゲイだった。女性に対して恋愛感情は抱けなかった。

もとの「男友達」と「女友達」の関係に戻るには、どうコメントを書いたらいいのだろう?

日記を読んでコメントを書くのに長く時間がかかればかかるほど不自然な感じする。あれこれ考えていたけど時間は迫っていた。

ボクは意を決してキーボードを打ち始めた。

<つづく>