ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

ノンケに生まれ変わりたい<22>

彼女が「MIXI」の日記という公開された場所に書き込んだものだから、ボクらのやりとりは同級生たちに全て筒抜けになってしまった。

しばらくして同級生たちは、

「神原は、彼女を独占しようと、あれこれ画策した挙句、彼女を公開の場で捨てた最低な奴」

という、とんでも烙印を押してくれた。「彼女とセックスして楽しんだ挙句に公開の場で捨てた」という同級生もいた。

特に彼女からフラれたB先輩は、本気で思っていたらしく、噂には尾ひれがついていって、もうどうしようもないところまで行ってしまった。

馬鹿馬鹿しい奴らだな……

もう噂話でもなんでも勝手に広めればいいと思って無視していた。既に大学の同級生と距離を取っていたから、どんな噂話を広げられても構わなかった。

ボクは自分が好きな人だけが事実を知っていれば、どうでもよかった。

「なんか変な噂が広まってごめんね……」

大学近くの喫茶店で、彼女から泣きながら謝られた。

「どうでもいいですよ。他人がどうこう言ってきても、ボクが片原さんやA先輩のことが、人として好きという事実は変わらないから、別に好きな人と繋がってれば、他の人から嫌われても、どーでもいいです」

ボクらの間で、この話題が出たのは一度きりだった。

これは本心だった。

ボクは自分が好きだと思う人と繋がっていれば、他の人から、どんなに嫌われても気にならない性格になっていた。

これが中学時代や高校時代なら「教室」という狭く固定された人間関係しか存在しない。ずっと人から嫌われないように悩んでいて、必死にホモキャラを演じてきた。精神的に苦しい状態になってしまったけど、大学時代なら自分の意志と力で、自由に新しく人間関係を築くことができた。ボクはもともと年上の人が好きだったから、社会人を相手に人間関係を築くことに力をいれていた。

みんなボクの正体を知らない。

その正体は自分だけの胸にだけ秘めておくしかなかった。

「ボクと片原さんはあくまで友達関係」

その言葉を信じてくれたのは、A先輩だけだった。

ボクは酒に飲まれるほど飲むことのない。でも彼の前で一度だけ飲んで意識を失ってしまった。かなり酔っ払ってしまって、断片的にしか覚えてない。

ただ一つだけ、はっきりと覚えているシーンがある。

「俺は男でも女でも……どっちでも好きになるんだよね……」

彼はグラスを手で弾きながら、ぼそりと言った。

ボクのどんな言葉を受けて、彼がそんなことを言ったのか経緯は全く覚えていない。ただ彼が、その言葉を言った時。ボクは彼の肩に頭を載せた状態で、その言葉を聴いていた。どうしてそうなったのか分からないけど、恐ろしいシーンだった。

自分がゲイだという告白はしていないと思う。

でも恐らく彼がその事実に気がつくくらいのことは言ったのかもしれない。

ただ、ボクは彼女がA先輩のことを好きになった理由が分かった気がした。

そしてボクはA先輩に恋していたと思う。

ただそのことに気がついたのは、大学を卒業してからだった。

<つづく>