ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

僕が一番欲しかったもの<10>

それまでも何度か彼にメールを送って、直接本人に問いただしてみようと思ったことはあったけど、

「あなたは性病にかかってるんじゃないですか?」

とは、なかなか訊きづらい質問だ。もし間違ってたら失礼になるとか思ったりして躊躇していた。

ただ微熱が続いてから、ボクの中で疑惑が確信に変化していた。もう相手に気遣う気持ちの余裕が無くなっていた。早く真実を知りたいという気持ちの方が勝っていた。

ボクは彼と最後にやりとしたメールを見つけて、そのメールに返信する形で文章を打ち始めた。

1月末に会ったものですが、ちょっとお聞きしていいですか?

「ここから先、どうやって書こう?」と思った。でもボクが彼に訊きたいことは一つだけだった。

もしかして、何かの病気を持ってないですよね?

どうせメールを送るのあれば、もうはっきりと質問するしかなかった。

ここ最近、微熱が続いていて心配になってメールをしました。突然、こんなメールを送って驚かせてすみません。もし違ったらすみません。

ここまで文章を打った後、何度も画面を見直して、勇気を出して送信ボタンを押した。そして携帯電話をパソコンの側に置いて返信を待った。

数分間後、メールの着信音が鳴った。

ボクは急いで携帯電話を開いて彼らからの返信メールを読んだ。

ごめん。覚えてないけど誰だっけ?

ボクは書かれた文章を読んで驚いた。それから、どうやったら彼に思い出してもらえるか考えて文章を打った。

○月○日の夜に、あなたの家に行ったものです。○○○の話をしたりしました。覚えてませんか? ボクはあなたと会ってから誰とも関係していないです。少し前から微熱が続いて心配になってメールをしました。

ここまで書けば思いだしてくれるだろうと思った。そしてメールを送信すると、すぐに彼から返信が来た。

ごめん。本当に誰だか思い出せない。うーん。検査したことはないけど病気にはかかってないと思うよ。

このメールをどう解釈すればいいのだろう。

彼がボクのことを思い出せないのは、他にも見境なく沢山の人と寝ているからなのだろうか。それともラッシュを吸って意識が朦朧として記憶が飛んだのだろうか。ただ、もう彼から有益な情報は聞き出せそうになかった。

突然、変なメールを送ってすみませんでした。ありがとうございました。

ボクは彼とのメールを切り上げることにした。

よかったらうちに来ない?

何を考えてるのか、また彼から誘いのメールが送られてきた。他にも見境なく沢山の男と寝ているという疑惑は確信に変わった。

いえ。結構です。ありがとうございました。

そう言い切るようにメールを打った。その後も、彼から誘いのメールが来たけど、もう返信せずに無視した。

結局、彼とメールのやり取りをして得られたものは「不安」だけだった。

それからも、ボクは「性病」や「HIV」について調べ続けた。
 
<つづく>