ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

深夜のカミングアウト<14>

ボクが転職する1年前のこと。会社内で一泊二日の社員研修があった。

よくあるグループワークだの、事前に出されていたテーマにプレゼンするとか、どこの会社でもありそうな研修内容だった。どちらかというと研修よりも社員同士の親睦も兼ねて行われているような内容だった。

夜になってから、飲み会が始まり、そのうち何人かづつに分かれて交互に風呂に入ることになった。研修先の風呂は小さくて、同時に3人くらいしか入れなかった。

ボクの頭の中で、高校時代の修学旅行の悪夢が頭をよぎった。

よくよく考えてみたら、社内でホモ扱いされている立場上、一緒に風呂に入ろうというメンバーがいるのか疑問だった。でも流石に大人だから、子供じみた冷やかしをするバカはいないと思っていた。

「神原はホモだから一緒に入ったらヤラれるぞ」

上司がニヤニヤしながらビールを片手に冷やかしてきた。ボクは「あちゃー。この人たちは子供のままじゃないか」と苦笑いした。今ならパワハラとかLGBT差別だとか言って、バッシングを受けてもいいような発言だ。でもボクは冷やかされながらも憎む気持ちにはなれなかった。「全くしょうがないな人たちだな」という、いたずらっ子に対する愛おしさのようなものを感じていた。

「いやーボクは男の裸には興味がないです。どっちかというと着衣している方が好きです」
「神原は着衣プレイが好きなのか、お前は村上のスーツ姿が好きなんだろ!」
「そうです!」

この頃、ボクの村上くんに対する気持ちの変化に、同僚たちは気がついていた。「村上のことが好きなの?」と質問されれば、「好きですよ」と本人を前に平然と応えていた。村上君は「アホか」と苦笑いしながら聞き流していた。

こうなったら一人で風呂に入るしかないかな。

そんなことを思っていた矢先だった。

「一緒に風呂に行こうか?」

ボクは声をかけてきた主に気がついて驚いた。その声の主は村上君だった。

「あっ。うん。入ろうか」

ボクの返答を待たずに、彼はタオルを持ってさっさと風呂場に向かっていた。「えぇ?本当にボクと一緒でいいの?」と狼狽しつつ、彼の後についていった。

この研修会に参加しているメンバーの中で、ボクに狙われる可能性で言えば一番危険なのが彼だった。まさかその本人から、一緒に風呂に入ろうと声をかけてもらえるなんて思ってみなかった。

さっき上司が冷やかしていた発言は、彼にも聞こえているはずだった。

ホモから狙われるとか警戒はしないのかな?

脱衣所に入ると、彼はさっさと服を脱ぎ始めた。それからボクの前で躊躇することなく、全裸になってタオル一枚を持って風呂場に向かった。

一瞬。ほんの一瞬だけど彼の全裸を見てしまってボクはドキドキした。

ボクは彼の後を追いかけるようにして、急いで服を脱いで風呂場に入った。

<つづく>