ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

深夜のカミングアウト<15>

ボクはゲイだけど男性の裸には興味がない。

そもそも人の裸を綺麗だと思ったことがなかった。それなのに体を洗っている彼の姿を見ると「綺麗」と素直に思えた。体を鍛えている訳でもないけど、20代中盤という若さもあり無駄な肉もなかった。自然のままの体つきがとても綺麗に思えた。

鼻血が出そう。

湯船の中から、彼の裸を見てそう思った。

よくアニメや漫画などで女性の裸を見て鼻血を吹き出す描写がある。そんなこと現実にあるのかと思っていたけど、ある一定の興奮を超えると、人は本当に鼻血が出そうという感覚に襲われることを知った。頭の中がのぼせ上がるような感覚になった。

彼とハッテン場などで関係を持つ人との間に、根本的に違う点がある。それは僕が相手に恋愛感情を持っているかと点だ。

そんな感情を抱いて彼の裸をまじまじと見ていると、本気で勃起して風呂から出ることができなくなってしまいそうだった。だから、なるべく視線を彼に向かわせないようにして、とりとめない雑談を続けた。

この夜。ボクは一睡もできなかった。

寝ることができなかった一番の原因は、右隣で寝ている上司のいびきが異常に大きかったからだ。もはや騒音と呼ぶに近かった。ボクは寝ることを諦めて起き上がった。みんな寝入っていて、そこかしこで寝息が聞こえた。

そして左隣を見ると村上君が寝ていた。

カーテンの隙間から漏れてくる月明かりに照らされている彼の寝顔をただ眺めた。いびきの騒音とは別の意味で眠れなくなってしまった。

いったい彼は何を考えてるんだろう。

過去にも、ボクがゲイだと分かる「近づいてこないで」とか「狙ってくるなよ」とか言って来る人が沢山いた。でも彼から一度も、そういったことを言われたことがなかった。

彼がボクと同じゲイじゃないことは知っていた。

少し前に付き合っていた彼女と喧嘩して別れたと聞かされていたけど、一緒にいてもゲイの要素を感じることがなかった。どう見てもノンケだとしか思えなかった。それなのに毎日のようにボクから「好きだ」というメールを送らても、一度も「止めて欲しい」と言われたことがなかった。一緒に風呂も入れば、こうやって隣で寝ることにも躊躇が感じられなかった。

普通のノンケであれば、同性から好意を持たれていることを知っていれば、もっと嫌がっても不思議ではなかった。それなのに彼がなんでボクをそのまま受け入れてくれるのか、そのことが気になってしょうがなかった。

ボクは外が明るくなって誰かが起きて来るまで、ただ彼の寝顔を眺めていた。

社員研修が終わって数日後。

ボクは彼にメールで

寝顔をずっと見てたけど可愛かったよ。
風呂場で全裸を見て興奮したよ。

と送った。彼からは「ちょ!止めなさい」と返信が着た。でも彼のボクに対する態度は、その後も変わらなかったのは言うまでもない。

それからしばらくしてボクは彼にゲイであることを告げた。

<つづく>