「舌で包み込むようにやるんだよー。また歯が当たってるよー。歯が当たらないようにもっと奥の方まで咥えてねー」
アダルト小説のような文章を書いて恥ずかしいけれど、それまで、とにかくフェラは咥えればいいのだと思いこんでいたボクとしては「こんなに奥深いプレイだったんだ!」とアホみたいに感心していた。
「おぉ……うまくなってきたね!」
ボクは頑張って少しずつ覚えて、最後には彼から褒められて頭を撫でられた。その時、ボクの頭の中では、どっかのロールプレイングゲームのファンファーレが鳴り響いた。
神原隆臣のレベルが上った。
HPが2上がった。
MPが3上がった。
性欲が5上がった。
ベッドテクニックのスキルが4上がった。
奉仕プレイのスキルが5上がった。
特技「フェラ」を覚えた。
あぁ……ボクもつくづく成長したものだ。とうとう「フェラ」を使いこなせるようになった。もっと新しいテクニックを使いこなせるようになりたいものだ。
そんな感じで得意満面になってみたものの「フェラ」なんて、初期スキルみたいなものだ。どっかのロールプレイングゲームで言うところの「メラ」とか「ファイア」くらいの扱いでしかない。ちなみにドラクエはⅤまで。ファイナルファンタジーはⅥまでしかやってないから、それ以降のゲームにも、その魔法があるかは知らない。
とこで昨日、書いた文章に「フェラ」のことを「ファラ」と間違って書いてて「興味のなさが滲み出ている」と読者から指摘があった。ご指摘の通りだ。今になってみると興味があるプレイじゃない。
でも大学時代のあの日の晩。若気の至りでしかないのだけれど、ボクは彼の指導する通りに夢中になって奉仕していた。
ちなみに彼はボクのされたいことを瞬時に見抜く特技があって「○○○されるの好きなんだねー」「○○○を触られるの弱いでしょー」とすぐに気がついた。
まだボクの方が大学生で経験が少なくて隠し方が下手だったのかもしれないけど、彼は次々とボクの弱点を見抜いてしまった。ボクが密かに心の中にかけていた欲望のベールを次々とめくってしまった。それも30分足らずの間にだった。今まで肉体関係を持った人の中で、あそこまで鋭い人はいなかったように思う。
たった一晩でボクは肉体的にも精神的にも丸裸にされてしまったように感じた。彼の前で何も隠し事ができなくなってしまった。
そんな感じで、彼はボクを一気に丸裸にしてしまってから「例の物」を出してきた。
あれ。えーと。そもそも何の話を書いてたんだっけ?
あっ……そうだった。目の前に置かれた「例の物」。
セーラー服とストッキングと化粧品の話だった。
うーん。女装すべきか。女装せぬべきか。
そんなこんなで彼はボクの中で珍しくクリーンヒット級の好みのタイプだった。彼からのリクエストに応えてあげたいという思いは強かったのだ。
<つづく>