ボクからすれば今更、陸上のユニフォームが出てきたと驚きはしない。
ゲイ動画などでユニフォームを着衣してヤッてるのを見かけたことはあったし、そういったユニフォームや体操服などのコスプレに興味がある人たちがいるのは、インターネットの掲示板などを見て既に知っていた。
ちなみにボクが今まであったゲイの人たちの中で、コスプレ系に興味があったのは、ヨウスケさんと、この同郷の人だけだった。
彼は「大丈夫かな?」と心配してきたので、安心させるために過去の出来事を話してあげた。
出会い系の掲示板を経由して出会った女装子のイサムさんのこと。
出会い系の掲示板を経由して出会って女装して欲しいと言ってきたヨウスケさんのこと。
彼は驚きながら話を聞いていた。
年上の彼の頭を撫でてあげながら「だから今更、陸上のユニフォームが出てきたところで驚いたりしないですよ」と言ってあげた。彼は「それでストッキングを買って、セーラー服を着て女装してあげたの?」と質問してきた。「まさか興味ないから女装なんてしなかったですよ」と答えたけど、「本当に?」と、わざと意地悪い疑わしそうな顔をしてきた。「絶対に着てないですよ!」と、わざとムキになって反論した。
ボクは陸上のユニフォームを広げた手に取って広げてみた。
ズボンの中にパンツが縫い付けられていて、「これって一体化してるんですね!」と驚いた。そんなことも知らないくらいにユニフォームに興味がなかった。ズボンに関しては、近年はスパッツぽい感じの物も見かけるようになったけど、目の前のブルーのユニフォームのズボンの丈が短かった。
陸上のユニフォームって肌の露出度が高いと思う。
年末年始で実家に帰省していると、よく親がテレビで箱根駅伝を見ている。例えユニフォームに興味がなくても、肌の露出度が高い陸上のユニフォーム姿を目にすると、少し目のやり場に困ってしまうことがある。他のゲイの人たちは同じようなことを考えないのかな?と今でも思うことがある。
とりあえずこのユニフォームを着てあげればいいのかな?
もともとボクは体育会系でもないから、そんなに似合うとも思えなかったけど、彼が喜んでくれるのなら「着てあげてもいいかな?」と思っていた。そんなことを考えていると、彼が恥ずかしそうに口を開いた。
「君が着てくれても嬉しいんだけど、もう一つお願いはあるんだ」
「なんですか?」
「もしよかったら俺が着て、そのまま攻めてくれない?」
「はぁ……」
「ずっと前から年下の子にユニフォームを着たまま攻められてみたいって思ってたんだ」
「いいですよ」
ボクの方からすれば、別に自分が着たいわけじゃないから、むしろ彼の願望は好都合だった。
<つづく>