ゲイとしての居場所作り2018年秋<16>

今まで書いてきた文章は、それなりに膨大になっていて、ボクの方は過去をさらけ出してしまっている状態だ。

子供の頃に馬鹿なことをしたとか、大学時代や社会人時代にどんな人と寝たとか、ほぼ全部知られてしまっているので、少なくともゲイという側面で起こったことや悩んだことに関しては、彼に隠していることはない状態だ。

彼から過去の出来事について質問されても「それって文章に書いてます」と言って、該当の文章をスマホで開いて読んでもらっている。そして文章に書けなかった「こぼれ話」を話している。他にも「次にいつ会う?」という予定を調整するのに、ボクは仕事の予定もプライベートの予定も、全てグーグルカレンダーで管理しているので、休日や有給休暇に変更できる日を、彼のカレンダーに共有するようにしている。もしかしたらこういった行動が「AIぽい」と言われる原因なんだろうか。

「他のゲイカップルはどうしてるんですかね?」

最近、ボクとショウタさんの間で交わされる言葉だ。

男女のカップルや夫婦のことなら、周囲の同僚や自分の親を見ていれば分かるけど、同性同士のカップルになると、あまり情報が落ちてなくて困ったりする。

それで漫画本『きのう何食べた?』をKindleを買って読んでみたりした。最近は「弁護士夫夫の南和行さんと吉田昌史さんの私生活を参考にしてみようかな?」とか思って、ドキュメンタリー映画の『愛と法』を一緒に観に行こうと思っている。

どんなふうにゲイのカップルが生活しているのか知りたい。

もちろん男女の夫婦と変わらない面が大半だと思うけど、やっぱり同性同士ゆえの個別の問題もあると思う。

「他のゲイカップルはどうしてるんですかね?」という言葉が出た後、「誰か知り合いのゲイの人に訊いてみようかな?」と思った。例えばゲイブロガーの「AIR-Jさん」のことが、すぐに頭に浮かんだけど、ストロング缶を片手にした彼のドヤ顔が思い浮かんで「彼なら質問に対して真面目に答えてくれそうだけど、恐ろしくぶっ飛んだ答えが返ってきて参考にならなさそうだ」と思い怖くなって止めた。

それに知りたい深刻な悩みという訳でもなく、どちらかというと笑い話になるくらいの単純な疑問だったりと、わざわざメールを送って質問するほどでもなかったりする。

でもどちらにせよ、

「誰でもいいからゲイのカップルが付き合う上での内面の葛藤を描いた文章を読んでみたい。どこに行ったとか、何を食べたとか、そういう報告もいいけど、もっと精神的な悩みや葛藤を書いた文章を読んでみたい」

最近、こう思うようになっている。

「のろけ話」のような側面も含まれるし、日本人の性格上、そういったプライベートを赤裸々に晒すのは好まないのかもしれない。

でも少なくともボクは今とても知りたい。どこか誰かに書いて欲しいと思っている。

こうやって書いていてて思うんだけど、この「誰かがこういう文章を書いて欲しい」という「構図」は覚えがある。そういえば過去に、このサイトを書き始めた時も「こういう文章を読みたい」から始まって「誰も書いてくれないから書く」という流れになったけど、「もしかして同じ顛末になるんじゃないだろうか?」と危惧している。

もし書いてしまうと「のろけ話を書くなよ」という批判が来そうだ。でも世の中にはそういった批判を恐れないで発信している人もいるので、その勇気にただ感服してしまう。

ただ、既にボクも「そこまで生々しく過去の話を書くなよ」と言われても、おかしくない状況だったりする。

<つづく>