ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

絶対に会えてよかった<84>


「痛い! やめて下さい!」


ダンスミュージックがガンガンに鳴り響いている店内で、若い男性の声がいきなり響き渡った。


店内のいくつかの部屋からは「あぁん」や「いやぁん」や「ちゅぱちゅぱ」といった淫らな音が聞こえていたけど、若い男性の叫び声が聞こえて一瞬だけ無音になった。


どこかでトラブったな?


そんな言葉が各部屋から吹き出しのように出てきた後、数秒には何事もないかのように淫らな音が聞こえてきた。


その叫び声は、ちょうどボクの立っていた場所の2メートルくらい先の個室の中から聞こえた。「いったい何があったんだろう?」と声が聞こえた方向を見ていると、個室のドアが開いて40代中盤くらいの男性が出てきて、ボクの前を足早に通り過ぎていった。


そっと個室に近づいて中をのぞくと若い20代前半くらいの男性がうつぶせになってお尻を押さえていた。


なるほど。さっき出ていった男性が無理やりバックをしようとしたんだな。


ボクは二人の状況を見てすぐに推測がついた。


「止めてって言ったのに……」


若い男性はボクが個室の入口に立っているのにも気が付いていなかった。彼は別に誰に聞こえるように言ってる訳じゃないんだろうけど、一人で呻いていた。


ロッカールームの方では、ドアを乱暴に閉める音が聞こえて、しばらくすると玄関のインターフォンが聞こえて乱暴にドアを閉める音が聞こえた。無理やりバックをしようとした男性はバツが悪くなったのか店から逃げ出していったようだ。


ボクは無関係だったので、その場から立ち去ろうとしたんだけど、うつぶせになっている彼が振りむいてバッチリと目が合ってしまった。なんだかそのまま立ち去るのが悪い気持ちになって、個室に入って「大丈夫ですか?」と声をかけた。彼は横になったまま手を伸ばしてボクの手を握ってきた。


「無理やりバックしようとしてきたんですか?」


ボクは枕元にしゃがんで、そっと声をかけた。


「はい……バックはできないって言ったんですけど……」

「大丈夫ですか?」

「そんなに奥まで入ってないので大丈夫です」


彼は甘えるようにボクの手を引いて一緒に布団に横になるように促してきた。


ボクは年下には興味がない。自分と同年代か年上の男性に興味がある。


彼は見た感じ20代前半で、恐らく10歳以上も年下のはずだった。カッコいいというよりもカワイイ系な童顔で、しゃべり方や態度から「甘えん方」という態度だった。ロッカーキーの位置を見るとネコのポジションだった。


まぁ……甘えん坊という点は置いといて、見た目に関してはボクの好みのタイプかな。


そんなことを考えながら、一緒に横になって彼を抱きしめてあげて彼の頭を優しく撫でていた。


<つづく>