絶対に会えてよかった<86>

ボクは個室の入り口で「どうしたものか?」と躊躇していると、彼は自分の身体を責めている40代の男性の顔を見た。

「この入り口に立っている人も一緒に混ぜてくれませんか?」

そんな言葉を込めた表情を作って40代の男性に訴えかけた。ボクも先に彼に手を出している40代の男性の顔を一緒に見て反応を観察した。

こういった場面だと「他の人も手を出していいよ」というパターンとか、「二人でやりたいから邪魔するなよ」というパターンに別れる。

でも彼はまだ20代前半と若い。

きっと40代の男性も「せっかく見つけた若い子との関係を邪魔するなよ」という感じを態度に出すと思っていた。そんなボクの予想に反して、40代の男性は彼と目が合わせてから「いいよ」という感じでうなずいた。そしてボクの方を見て「一緒に責めようよ」という感じで微笑みながら頷いてきた。

ボクは二人から視線を向けられて慌てて個室を後にした。

頭の中で彼の甘えるような少し悲しげな表情が残っていて後ろめたい気持ちになったけど、どうしても彼らの輪の中に加わりたいと思えなかった。はっきり言って、ボクは複数人で肉体関係を持つのが好きじゃない。肉体関係を持つ相手とゆっくり会話をすることもできないし、誰だか分からない人と関係を持って病気をうつされるのも怖かった。

ただ、ボクは見捨てながらも彼のことが気になっていた。

40代の男性は、たまたま若い20代の子が目について手を出しただけで、彼自身に対しては興味はないように思えた、もし彼に対して興味があれば「複数でやろう」なんて話には乗らないと思った。

ボクは10分くらい経って個室に戻って、そっと中を覗いてみた。

するともう一人40代くらいの男性が増えていた。

今度は、2人がかりで20代の彼の身体を責めていた。

最初の人が彼を後ろから抱きかかえてキスしたり乳首を責めたりして、2人目は彼の下半身を責めていた。ボクはまた最初の人と目が合ってしまった。さっきと同じように「一緒に責めようよ?」という感じで微笑みながら手招きしてきた。

ボクは彼と目が合う前に個室から立ち去った。

それから10分後。

そろそろ終わってるだろうな。

そんなことを考えながら個室に近づいていった。彼は20代前半で性欲は旺盛だろう。二人がかりで責められたら、とっくに我慢できなくて性欲を吐き出しているだろうと思っていた。

暗闇の中、個室に近づいていくと、ボクの予想に反して賑やかな物音が聞こえてきた。

彼に見つからないようにそっと個室を除くと、予想に反して彼らの一連の肉体関係は続いていた。さらに驚くことに、もう一人30代中盤の男性が加わって彼の身体を責めていた。

合計3人がかりで彼の体を責めていた。

10分後、また個室を訪れると三人がかりの攻撃はまだ続いていた。

さらに10分後。またまた個室を訪れると三人がかりの攻撃はまだまだ続いていた。

さらに10分後。またまたまた個室を訪れると三人がかりの攻撃はまだまだまだ続いていた。

いったい。いつ終わるんだろう?

あまりに長く続いているせいか見物人は徐々に多くなっていた。見物人からは「いつ終わるの?」とか「すごい」といった囁き声が漏れていた。

ボクも興味本位に駆られて、その見物人に混じって三人の様子を観察していた。

ただ彼らの一連の肉体関係の結末に興味があった。

<つづく>