カミングアウトした過去と他人との距離感<1>

「いつ頃から、そんな『こましゃくれた話し方』するようになったんですか?」

「子供の頃からですか?」

先日、寝る前にショウタさん電話で話していたら、そんなことを突然に言われた。「『こましゃくれた話し方』って、いったい何の事だろう?」と思っていたら、ボクの話し方のことだった。

ほぼ毎日の習慣になっている電話を切った後、彼の言葉を冷静に振り返ってみると、あまりに的確な指摘であることに気が付いて、布団に入ってから一人で笑って転げてしまった。よくよく考えてみると、ショウタさんだって同年代の人と比べると大概に『こましゃくれた話し方』をしているように思ったけど、それを面と向かって言うと、後で虐められるので、サイト上の文章にて反論しておく。どうでもいいけど、数日前に彼が電話で「小生は……」とか、いきなり話し始めたので、それからボクらの間では「小生は……」という話し方が少しだけブームになっている。

ちなみに初めて読む人もいると思うので補足しておくけど、ショウタさんとはボクが付き合っている人だ。もちろん本名は違うけど、落語家の『春風亭昇太』になんとなく似ているので一応、本人にも了解を取ってそう呼ぶことにした。本人にも「春風亭昇太に似てますよね?」と伝えたら否定しなかったけど、すごく嫌そうな顔をされてしまった。ボクとしては好みのタイプの顔だし、最高の褒め言葉なんだけど、どう解釈するかは人それぞれなので仕方がない。

それで話は戻って、冒頭の『こましゃくれた話し方』についてだ。

彼から指摘されるまでもなく、ボク自身も相当に自覚があった。それも子供の頃からだった。

子供の頃から年上に対してだけでなく、同年代に対しても、そして年下に対しても、いつも敬語や丁寧語で話しかけていた。ニックネームで他人の名前を呼ぶ事なんて絶対になかった。

年上や女性なら○○さん。年下の男性なら○○くんと呼んでいた。それが幼児であろうと男の子なら○○くん。女の子なら○○さんだ。○○ちゃんなんて呼び方は絶対にできなかった。でも今まで親も含めて他人から指摘されたことがなかったので、意外と『こましゃくれた話し方』をしているのにバレてないのかな?と思っていたら、いい大人になった今更になって指摘されてしまった。

ショウタさんは、ボクのことを「Aiぽい」といつも言っている。

彼の「Aiぽい」という言葉の真意は分からないけど、ボク自身は「合理性重視な思考」と「感情がなさそうな話し方」をしているからだと思っている。そういえば先日「小さい子供の面倒をみるのが苦手なんですよね」とショウタさんに言ったら、彼から「そうでしょうね。やっぱり隆臣さんはAiだから、予測不能な行動をする子供の面倒をみるの苦手そうですよね」と、ニヤニヤしながら虐めて来た。ちなみに、これも的確な指摘であることに後から気が付いて、その日の夜に布団に入ってから一人で笑って転げてしまった。

「どうしてこんな『こましゃくれた話し方』をするようになったんだろう?」

そんなことを思って過去を振り返っていくと、小学生時代から既に片鱗が出ていたと思う。ただ特に顕著になったのは中学時代から高校時代にかけてだ。

それはボクが同級生に対してカミングアウトしてしまったことが関係している。

<つづく>