ゲイショップの思い出<11>

2018年12月31日。ボクは実家に帰省するために、西鉄薬院駅で降りてJR博多駅に向かって歩いていた。博多駅に向かう途中に『柳橋連合市場』の前を通り過ぎると、年末の買い出しで人がごった返していた。いつもなら見かけない交通整理のガードマンが配置されて、市場の様子が気になってみたものの足を踏むことができないくらいに混雑していた。その盛況ぶりを目にして「そういえば今日は大晦日だったな」と今更になって認識した。年末に仕事が立て込んでしまって、前日からほとんど寝ていない状況で博多駅に向かって歩いていた。

そういえば……このまま住吉通りを真っすぐ歩いて行ったら『コンボイ』の前を通り過ぎることになる。

那珂川にかかっている橋を渡っていると、あの店の存在がふと頭の中に思い浮かんだ。

それから数分後、ボクは店の前で立ち止まった。店のドアを眺めていると、あの日の夜の出来事が思い出された。ドアには年末年始の営業のお知らせが貼り付けられていた。

もう…この店に入る機会はないだろうな。

ボクはそんなことを思いながら、ポケットからスマホを取り出して周囲の目を忍みながら写真を撮った。道を歩いてから人とって、何の変哲もない店を撮影しているボクの姿が不審に見えるだろうと思ったけど気にならなかった。そして彼に写真を送った。別に深い意味はなくて、ただの悪戯心だった。それから眠い目をこすって欠伸をしながら博多駅に向かって歩き出した。

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2019年になってから一カ月が経った。

たった一か月の間で、ボクらはいろんな場所に遊びに行った。そもそもボクらが一緒に行っている場所は、人が多い街中よりも、人が少なくて自然が多い場所の方が圧倒的に多い。たまたまこのサイトのテーマ上、ゲイショップや野外のハッテン場に行ったことを中心に書いているだけだ。

今年はまだ残り11カ月もある。

これから先もまだまだ沢山の場所に遊びに行くだろう。早く春になって暖かくなるのを楽しみにしている。そうすればもっと色々なことをして遊ぶことができる。

ボクは別に一人で行動するのが嫌いじゃない。一人でも気にしないで大抵の店に入ることができる。

一人でも行こうと思えばどこにでも行くことはできるけど、やっぱり二人の方が行動の選択肢が増えることをつくづくと実感している。

これまで毎日同じような暮らしを繰り返してきた。一人で生きてきて毎日同じような生活をするのも、それはそれで楽しい面があった。でも、やっぱり誰かと一緒にいるのも楽しい。ボクが住んでいるのは田舎ということもあって、周囲のノンケの友達たちはとっくに結婚して家庭を持っている人ばかりだ。ノンケの友人と遊ぶのは難しくて、ボクは出会った人と付き合うことになったけど、別にゲイやノンケの友達関係でもいいと思う。この年齢になって今更だけど誰かと一緒にいるのも捨てた物じゃないと思った。

二人で一緒に生きていても一人でいる時間は作ることができる。

でも一人で生きていると誰かと繋がっていると感じるのは難しかったりする。

彼と付き合い始めてから急激に毎日の生活が変化している。このサイトでも今は彼との間に起こった出来事を中心に書くようになっているけど、そのうちまた書く文章の内容も変わってくるだろう。そういった変化も含めて今後、自分がどう変わっていくのか楽しみにしている。

実を言うと、ボクの中では心境の変化が起こっている。

彼の持っている世界と、ボクが持っていた世界が混じり合っているのを感じていて、どこかに遊びに行くこと以外にやってみたいことは既にある。

それはいつか別の機会があれば書くことにする。

<終わり>