おのぼり二人紀行<13>

自転車で西川口まで50分はかかる。

 

出発地の戸塚安行周辺は農園が多いみたいで畑や園芸店がやけに目についた。ただ坂道を登って西川口方面に近づくにつれて徐々に住宅が多くなってきた。下り坂を降りる頃には住宅街になってしまった。5月末の土曜日で運動会をやっている学校をいくつか見かけた。僕らは何度か水分補給の休憩をはさんで、10時半に目的地の西川口に到着した。

 

それから『ザムザムの泉』という店に立ち寄った。

 

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彼がずっと前から来たがっていた店でようやく来ることができた。

 

彼によると西川口一帯は中国系の料理店が多くなっているらしい。ネットで調べてみると、確かにそういった情報が載っていた。まだ開店20分前に到着したのだけれど、僕らは日陰に隠れて待っていた。彼を見ると「楽しみだ!」「早く食べたい!」というオーラが体全体からふつふつと漂っていた。僕らは結局、朝ごはんを食べることなく西川口までたどり着いていて、お腹もかなり空いていた。

 

その後、ドアが開くと同時に店に入って注文した。僕らが店に入ってからぽつぽつと3人ほど日本人の客が来た。まだ早い時間帯だったので客も少なく店長も時間があったみたいだ。店長は手打ちの麺を打ち終わった後、彼と二人で30分近くじっくり話し込んでいた。なんとなく店長の話す態度から感じたのだけど、恐らく彼の中国に関する知識と、料理に関する知識が、そこら辺の人よりも深くて存在が気になったようだった。中国の蘭州や中国料理や西川口界隈に関するマニアックな話題を二人で中国語を混ぜながら話していた。

 

僕はこの店のスープが美味しくて全て飲み切ってしまい、アルバイトの店員から「まだスープだけ飲みますか?」と言われたのでお願いした。

 

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彼は大量のラー油をスープに投入していたのだけれど、店主はそんな彼の姿を見て「その食べた方が正しい!」と言っていた。僕は二杯目のスープもあっという間に飲み終わっていたので、彼のスープを少し貰ったのだけれど、これがとても美味しくて3杯目のスープのおかわりをしようと思ったのだけれど恥ずかしくて止めた。彼からスープを分けてもらいながら堪能した。

 

店を出るときに、彼が「福岡から来ました」と店長に伝えると驚いていた。彼は長年の念願が叶ったのが嬉しかったようだ。実際に満足するぐらいに美味しかった。そんな彼を見ていると僕も嬉しくなって来た。

 

こうやって文章を書いていて気が付いたのだけれど、今回、旅行紀を書きながら、このサイト始まって以来、初めて食事レポートを書いていることに気が付いた。文章を書き始めて2年以上経って、ようやく食事の写真を載せて書いているけど、たまにはこんな文章を書くのもいいかなと思っている。

 

その後、僕らは自転車に乗って隣の「蕨市」に向かった。

 

<つづく>