ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

おのぼり二人紀行<14>

西川口駅前の角を曲がって少し進むと、いきなり蕨市の案内看板が目についた。

 

「もう蕨市に着いたの?」

 

僕は西川口駅のすぐ隣から蕨市が始まっていることに驚いて後ろを走っている彼に向かって声をかけてしまった。

 

そもそも当初は蕨市に行く予定はなかった。

 

だけど、彼が「蕨市がどうなってるのか自転車で走ってみたい」と言ったのがきっかけで行くことになった。蕨市にはクルド人が集まった「ワラビスタン」と言われる地域もあるらしく、彼はそういった文章でネットで読んで行ってみたいと思った。僕も「こんな機会でもないと蕨市に行くことはないよね」と思って一緒に行きたいと思った。

 

ちなみに、それまでの僕の中での「蕨市」というと「漢字が難しい街」というイメージしかなかった。

 

僕は蕨市の街並みを眺めながら、この旅行の2ヶ月ほど前、職場によく出入りしている営業の方が「蕨市出身なんです」と言っていたのを思い出していた。僕は「あの漢字が書きにくい街ですね」と言って、彼は「そうなんです。『蕨』って難しいですよね」と言っていた。「あの営業で来ている方はこの街で育ったんだ」と思いながら、今度、会ったら「蕨に行きましたよ」と言ってあげようと思った。

 

僕らは自転車に乗って蕨市内を散策した。

 

しばらくして「お腹が空いたね」とお互いに言い出した。よくよく考えてみたら、朝ごはんを抜いたまま、まだラーメン一杯しか食べていなかった。それで「まだ何か食べれるよね」ということになって、蕨駅の近くにある『ハッピーケバブ 』という店にたどり着いた。

 

この店のクルド人の店長は、常に誰かと話していない生きていけないんじゃないかと思われるくらい陽気で明るかった。

 

「ちょっと前に、この店に『西島秀俊』が来たんだよ!」

 

なんの前触れもなく店長がそんなことを言い出した。

 

僕は普段からテレビをあまり見ないので、『西島秀俊』と聞いても『きのう何食べた?』に出演しているくらいの記憶しかなく、まさか僕たちがゲイであることを見抜いてるんじゃないだろうかと思ったけど、店長を見た限り気づいた様子ではなかった。

 

よくよく考えてみると、僕らはケバブを一つだけ頼んで、それを男同士で交換しながら食べているくらいで、周囲にゲイオーラを撒き散らしながら食べていた。

 

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その日の夕方、トランプ大統領が日本に来ることになっていたて、店長は「トランプにケバブを届ける」とか「トランプが店に食べに来る」といったジョークを交えながら話していていた。他にも何か映画に出演したとか色々話していたけど、僕は「この店に西島秀俊が来たっていうのも本当なのか怪しいな?」と半信半疑で話を聞いていた。

 

僕はお菓子を食べながら、新大久保の韓国やイスラムやインドの雑貨店で見かけたお菓子を思い出していた。さらに『Binowa Cafe』で食べた海外のお菓子を思い出していた。そして「海外のお菓子を集めて一口サイズでもいいから食べさせてくれる専門店があればいいのに」と思った。

 

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僕たちは店長の言葉攻めをいなしながら無事にボロを出すことなく食事を終えて店を出た。

 

時刻は13時を過ぎていた。

 

この日は晴天で日差しも強かったので「陽が落ちるまでどこかで休もうか?」ということになった。彼がスマホを使って近くに『イオンモール川口前川』があるのを見つけてくれ、僕たちはそこで少しだけ休憩すること決めて、頭上の太陽を避けるべくイオンモールに向かった。

 

<つづく>