ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

おのぼり二人紀行<21>

僕の方は八木さんの同人誌を買ったことで野郎フェスに来た目的を果たしてしまった。一方、彼の方はその後も次のブースの前に立ったまま同人誌を買うのを躊躇していた。

 

でも、僕が「こういうのはノリで買った方がいいですよ」と何度か言って、一冊買ったのがきっかけになって、ようやく躊躇いが無くなったのか何冊か購入していった。

 

その日夜、宿に帰ってから、僕たちはお互いに買った同人誌を交換して読み合いをした、その時に気がついたんだけど、僕が買った八木さんの本の一冊に値札がついたままになっていた。どうやら一番上に置いた本を買ってしまったようだ。イベント開始早々に値札が無くなってしまって八木さんに申し訳ないことをしてしまった。郵便屋のブースで買った本はアマゾンで買った『同性婚で親子になりました』の続編のような内容で期待した通りだった。

 

特に『ゲイ・オタ・ホーム』という本が気に入っている。

 

木さんと京太さんがマイホームを購入するまでの日々を描いた同人誌だったけど、もっとこういったゲイカップルの資産運用を扱った本が出回って欲しいと思う。僕としては、生活費の支出をどうやって分担しているのか、収入などの貯金をどうしているのかなど興味がある。

 

八木さんの場合、京太さんの貯金でほぼ一括払いでマイホームを購入したみたいだけど、家などの不動産のような高額な買い物をする時に、どうやって配分にしているのか興味がある。ちゃんとした法的な支えがないゲイカップルがどうやって二人でお金を出し合って購入しているのかなどに興味がある。生活スタイルは人それぞれだと思うけど、もっと参考になるような事例が出て欲しいと感じている。沢山の事例の中から、自分たちに合ったものを選んでいけるようになればいいと思う。

 

ちなみに彼の買った同人誌は、現在は僕のアパートの本棚に並べて置いている。

 

でも彼がどんな同人誌を買ったのかは内緒にしておく。

 

そもそも僕としては、彼が「野郎フェスに行きたい」と言ったことが驚きだった。彼はTRPのようなイベントには全く興味がない。あまりゲイとしての側面を人前で出すことがないので、そんな彼がゲイの集まるイベントに積極的に顔を出そうとしたの意外だった。イベントの最中も「気にしてないのかな?大丈夫なのかな?」と少し心配だったけど杞憂に終わった。

 

そういえば、今回の野郎フェスで面白い作家を見つけた。

 

あるブース前で彼が「この作家さんの同人誌は面白いよ」と言って教えてくれた。

 

それは『芋熊さん』という作家だった。

 

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僕も試し読まをさせてもらったけど、他の作家さんとはちょっと異質な感じがした。

 

人間が密かに抱いている欲望を赤裸々に描いていて興味深かかった。他の作家ならもっと手前で他人の目を気にしてブレーキをかけて書くのを止めてしまう内容を、この芋熊さんはブレーキをかけずにアクセル全開で描いていた。自分が抱いている願望を正直に作品に描き込んでいるように感じた。これはとても勇気がいることだ。1ページ毎に自分の作品に対する愛情がしっかりと込められているように感じた。

 

僕たちは会場内を一周してから気になったエリアをもう一度回った。歩きながら会場の全体の雰囲気を観察していると、人気があるブースと人気のないブースの差が極端だった。さらに細かく観察していると漫画ではなく小説の同人誌を売っているブースのお客は少なかった。それと会場に入って左側の特に真ん中の通路はお客が空いていた。なぜだろうと思って観察してみると、女性作家のブースが多いのが原因みたいだった。これは予想だけどお客のゲイが大半だからかもしれない。女性が描いたゲイ向けの同人誌の絵柄に対して、なんとなく拒否感のようなものを感じているのかもしれなかった。

 

結局、僕たちは1時間半くらい回ってから会場を後にした。

 

<つづく>