ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

おのぼり二人紀行<26>

中島みゆきの『瞬きもせず』の1番の歌詞では「僕は君を誉める」と書かれている。

 

こういった「僕は君を受け入れる」といった視点の曲は『誕生』などいくつかある。

 

でも『瞬きもせず』に関しては、さらにもう一歩進んだ視点で書かれている。

 

2番の歌詞では「僕も君も街を行く人たちも皆似ている」と書かれている。そして「僕も君も街を行く人たちの人生は似ているよ。もっと他の人たちの人生に目を向けてみないか。他の人たちの人生を想像してみないか」と語りかけると同時に問いかけている。

 

歌詞の流れに沿って歌声を変えているのにも気が付く。1番目では「僕は君を誉める」と訴えるように激しく歌っている。2番目では「僕たちは皆似ている」と1番目に比べて優しく寄り添うように歌っている(この曲は2つバージョンがあってMOVIE THEME VERSIONでは2番目から子供たちの合唱が入って歌詞の意図がより明確になっているように感じられる)。3番目では「だから僕は君を誉める」と一番激しく鼓舞するように歌っている。

 

最後のサビの歌詞上で、はっきりと書かれてはいないけど、

 

僕も君も他の人たちも皆似ている。僕が君に向けた気持ちを、君も同じように他の誰かに向けてみない?

 

そういった思いを、力強い歌声で表現しているように聞こえる。

 

この曲はリリースされた時、僕は高校2年生だった。過去の文章でも書いているけど、この時期はあまり学校に行っておらず、自己嫌悪の真っ最中で、自分のことばかりしか考えていなかった。そんな中、この曲は「君が痛んでいるのと同じように他の人たちも似たように傷んでいるのかもしれないよ。僕が君の人生に目を向けたように、君も通り過ぎるだけの人たちの人生に目を向けて、もっと思いを巡らしてみない?」と語りかけてくれた。

 

彼女の曲の中で「一番好きか?」と問われればそうではない。その時々で好きな曲は変わってくる。

 

でも、この曲は今でも僕の中で大切な位置にある。

 

2年前の秋頃にも文章で書いたのだけれど、どこか旅行した時に観光地を歩くことにあまり興味がない。その街で生きている人たちの生活を感じることができないからだ。

 

今回の旅行で中華街を歩いた時も、あまり興味が湧いて来なかった。ただ、僕の中で「その場所に行ったことがある」という事実が残っているだけだ。そういった観光地よりも、その土地に住んでいる人たちの何気ない日常生活が感じられる、観光地から離れた住宅の路地裏の方が好きだ。

 

今回の旅行中でも、なるべくそういった場所に訪れたいと思っていた。一緒に旅行している彼の方は外国の料理や食事などに関心があるのかもしれない。一方、僕の方は日本で生きている外国人たちがどういう風に暮らしているのか興味があった。新大久保で僕たちにアムラを教えてくれた外国人。蕨市で生まれて育った営業の人。西川口駅に向かうバスに大根と台車を積み入れて同車したお爺さん。そういった自分とは違う人たちの人生を感じることが旅行の醍醐味のように思う。

 

年齢を重ねる度に感じるけど、相手を尊重していれば、自然と相手からも周囲の人たちからも尊重する気持ちが返ってくるようにつくづく感じる。

 

僕は相手の人生を想像して思い巡らすことが尊重することだと感じている。

 

<つづく>