おのぼり二人紀行<35>

僕らは福田さんの隣に畑を借りて農作業をしていた中国人の方と長い時間話した。その人は空いたスペースにたんぽぽを植えていて面白い話を聞くことができた。そしてJAの貸農園を出て高架線沿いを歩いて練馬駅近くの「ケララバワン」という店で昼食を済ませた。

 

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それから今度は電車を乗り継いで埼玉県に入りバスに乗って山奥に入っていった。

 

飯能市の山奥にある「野口のタネ」という店に来た。

 

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そこで自分たちの畑に植える種を購入して1時間くらい過ごした。東京に戻るにも交通手段はバスにしかなかった。バスが来るのを待つ間、バス停近くの駄菓子屋でアイスクリームを買って分けて食べた。しばらくするとバスが来て、そのまま飯能駅まで戻るかと思いきや、彼はバスの中から見えた河原まで行ってみたい言い出した。

 

それは「飯能河原」という場所だった。

 

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途中のバス停で降りて急坂を降りて河原まで下った。僕たちは人気がない場所まで移動して、靴を脱ぎ裸足になり岩に座って冷たい水に足をつけた。ここ数日間、ずっと歩き通しで疲れた足に心地よかった。河の深い場所では黒い大きな魚の群れの影が見えた。涼しい風にあたりながら涼んでいると、彼は突然に鞄から2リットルサイズのペットボトル出した。

 

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彼は「茄子の砂利漬付けを作りたい」と言い出した。

 

佐藤雅子さんの『私の保存食ノート』という本に書いてあったらしく「前から作ってみたかった」と言っていた。彼曰く九州の河原の砂利と違って、細かい石が多かったので砂利付けに向いているらしい。彼は夢中になってペットボトルの小さな口から砂利を注いでいたけど、2リットルのボトルが一杯にするには時間がかかる。僕は「それ以上詰めると重くなるよ」と何度も注意したけど、彼は時間をかけて限界まで砂利を詰め込んでしまった。水分を含んだ砂利はとても重たかった。

 

<つづく>