おのぼり二人紀行<36>

僕は嬉しそうに砂利を詰めている彼を見ながら「やっぱりこの人は面白いな」と思った。まるで子供みたいに「あれをやりたい」とか「あれを作りたい」とか「あれが欲しい」とか、とめどなく言ってくる。あれやこれやと僕を巻き込んだ挙句に、この旅行後には不動産まで買うことになってしまったのだけれど、それを否定しないで一緒に乗ってしまう僕も似た者同士なのかもしれない。

 

16時を過ぎて日が傾いてきた。明日の今頃には帰りの飛行機の中にいるはずで「これで東京旅行も終わりかー」と思うと少し寂しくなってきた。

 

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日が暮れる前に飯能河原から歩いて飯能駅まで戻ることになった。

 

彼は水分をたっぷり含んだ砂利入りの重たいペットボトルを鞄に入れて、身体の前にかけて歩いていた。砂利を手に入れて嬉しそう顔をして歩く彼の姿を見て「そういえば同じようなことが前にもあったなー」と思い返していた。今年の春先に熊本に行ったとき、彼は古書屋で重たい植物図鑑を何冊も購入して熊本市内を散策していた。今回の旅行ではあまりに重たそうだったので途中何回か荷物を交換して駅までたどり着いた。

 

その後、僕たちは高田馬場駅に着いて『ウルムチ フードアンドティー』というウイグル料理店で食事を取った。

 

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お腹が空いていたので出された料理をあっという間に食べてしまったのだけれど、彼は食後に何か言いたそうな顔をしていたので質問してみた。すると「まだ何か食べたい」と言い出した。それで「じゃあ別の店に行こう」ということになった。

 

なんとなく僕もこのまま最後の夜が終わるのが寂しい気がしていた。

 

もともと福岡に帰る前日に、新大久保で調味料などを買う予定だったので、僕たちは高田馬場から新大久保まで歩くことになった。新大久保に着いてから、旅行一日に目にした謎の木の実の「アムラ」を買った。それ以外に、彼は香辛料や調味料を沢山購入してしまった。

 

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<つづく>