おのぼり二人紀行<37>

僕たちは、新大久保駅から東新宿駅に歩いて向かっていたけど、その途中にある「ニュームスタング」 というネパール料理店に入った。店内はネパール人しかおらず、僕たちの姿を見て、一堂が意外そうな顔をしていた。日本人客が来ることは、あまり想定していない雰囲気だった。 

 

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彼は注文した料理を、ほぼ一人で食べてしまった。

 

つい1時間前に、高田馬場で夕食を食べているはずなのに、全く足りていなかったようで、僕は数口しか食べる隙がないまま完食してしまった。額に汗を浮かべて食べている姿を見ながら「どんだけお腹空いてたんだよ」と面白く思いつつ、あのまま一軒目で食事を終わらせないでよかったように感じていた。最終日に二軒もはしごして夕食することになるとは思わなかったけど、そんなイレギュラーな展開が楽しかった。

 

結局、この旅行中に行った外食店の大半が、日本人ではない外国人たちが経営している店ばかりだった。

 

僕自身としては異国の文化に興味があるし、もっと海外からの移住者が増えて欲しいと思っているけど、このまま移住者が増えていくのは難しいと思っている。特に現状のままでは、外国人労働者が日本に定着するのは難しいと思っている。

 

話は少し変わるけど、去年の同じ時期にも東京に来た時にも思ったけど、僕は「東京に住みたい」とは思わない。今回の旅行でも「たまに遊びに来るのはいいけど、東京には住みたくないな」と思った。ゲイとしての側面から見ても、それ以外の側面から見ても、あまり東京に魅力を感じていない。

 

これから先、都市部と農村部の中間点のような場所に住んだ方がいいように感じている。都市部への交通アクセスが良く、通信などのITインフラが使えれば、別に地方でも不便は感じない。そういった場所の方が、安い不動産はごろごろ転がっている。たまに都会に行くからありがたみが分かるし、たまに田舎に行くからありがたみが分かるし、その中間点にいた方が、どっちも味わえて楽しい。

 

東京では何かを新しく始めようにも土地の値段が高騰していて、外国人はおろか日本人ですら生きづらい場所になっているように感じている。物も人も情報が多いけれど、別に地方にいても、特に欲しい物はないけど、欲しい物はネット経由で手に入る。最近は「もう無駄に情報は要らない」と思うようになって意図的に遮断していて、そこまで必要な情報があるように感じていないけれど、それもネット経由で手に入る。

 

それに人が多く集まっているからという理由で群れて来る人たちには魅力を感じないし、少し前にも書いたけど、僕には多くの人に会うことが、必ずしもいいとは限らないように感じている。ちゃんと自分の足で立っている人や、自分の足で立とうと頑張っている人の方が魅力的で、そういった人たちと数人でも出会えれば、それだけで十分だ。

 

福岡は少し移動すれば田舎にも行けて綺麗な海も山といった自然もあるし、東京まで1時間で飛行機で行けるし、他にも新幹線という手段もある。博多駅や福岡空港や天神といった都市部へのアクセスがいい場所に住んでいれば不便は全く感じない。たまたま福岡に住んでいたのだけれど、運が良かったよう思っている。

 

僕たちは食事を終えて店を出てから東新宿駅から都営大江戸線の蔵前駅までたどり着いた。飯能河原、高田馬場、新大久保、東新宿、蔵前まで、その間、彼は、ずっしりととした重たいペットボトルを背負っていた。僕も新大久保で買った食材や香辛料や調味料といった荷物で手一杯だった。

 

宿まで戻って、ちゃんと洗濯をして、それから最後の夜を過ごした。

 

 

翌日の朝。今回の旅行中に買った物が多くなったので荷物を福岡まで送るために郵便局に行った。前日に新大久保で買った調味料。野郎フェスで購入した同人誌。ついでに飯能河原で拾った砂利をまとめて、彼が上手に梱包してくれた。

 

「郵便局員が荷物の中身を確認したらまずいよね」
「送り状の荷物の名前は何にする?」
「ゲイ向けの同人誌って書こうか?」
「局員の人はどんな反応するのかなー」

 

など、僕たちは荷物の中に紛れ込んだ同人誌の存在を心配していたけど、局員に無事に受け取ってもらい宿に戻った。それから僕は宿の庭先に干していた洗濯物を取り込み部屋に戻ると、彼はヨガ体操をやっていた。ほとんど毎朝、ヨガ体操をやっているのだが、その日は何故か腰のあたりのストレッチを多めにやっていたので少し不思議に思いながらも荷物をまとめていた。

 

今回の旅行中、3日目の朝に一回ほど別の宿に移動していた。同じ蔵前駅近くの宿だったけど、2軒目の宿の方が開放的で過ごしやすかった。彼は白人の女性宿泊客と英語で会話していたけど、僕は断片的な単語しか聞き取りできなかったので退屈になって蔵前周辺のおもちゃ屋見て回って時間をつぶしたりした。

 

その後、僕たちは荷物をまとめて宿の主人にお礼を言ってチェックアウトした。

 

そして蔵前駅には寄らず徒歩で浅草橋まで移動した。それから総武線に乗り秋葉原まで移動した。もともと秋葉原に行く予定はなくて、そのまま成田空港まで行ってもよかったのだけれど、急に予定を変更して行くことになった。

 

秋葉原に行く理由。

 

それは「大人のおもちゃ」を買うためだ。

 

<つづく>