第11章 大人の同性愛世界の入り口

大人の同性愛世界の入り口<7>

ボクは今まで気にも止めていなかった銭湯の貼り紙に目を向けた。貼り紙にはこう記載されていた。 「浴場内で他の人が不快と感じる行為を禁止しています。他人の体を触ったりした方は警察に通報します!」 この貼り紙の文言が、自分にも強く向けられている気…

大人の同性愛世界の入り口<6>

「えっ?」 「それとも俺の家に来る?」 この人は絶対にヤバい・・・変態だ!・・・ 一瞬で判断したボクは、湯船の中で慌てて彼から距離を取った。ボクは彼の手が届く範囲から離れてから彼を睨んだ。彼の顔からは笑顔は消えていた。睨んだボクと目が合いすぐ…

大人の同性愛世界の入り口<5>

気分転換のため銭湯へ行きはじめたボクは、露天風呂に浸かって星を見ながらよく考え事をしていた。ボクの大学時代は、就職の氷河期と言われた時期で、企業の採用人数が少なく就職が難しかった。大学入学時から就職活動のことを意識して過ごさないと就職先も…

大人の同性愛世界の入り口<4>

銭湯にサウナか・・・面白そうだな。ボクの実家近くには銭湯がなかったせいか、子供の頃から銭湯に行った記憶がほとんどなかった。 「うん。一緒に行こう!」 乗り気になったボクは、ショウタ君のメールに返事をした。 ボクらは銭湯の店先で待ち合わせするこ…

大人の同性愛世界の入り口<3>

夜の遅い時間になり、ようやくボクらは店を出た。 「じゃあね。2人ともバイバイ!」 早く1人になり頭の整理をしたかったボクはすぐに2人と別れた。そして1人で夜道を歩きながら物思いに耽っていた。 「きっと同性愛者であることを隠して生きていくと、こうい…

大人の同性愛世界の入り口<2>

ショウタ君の言葉にユウスケ君がすかさず反応した。 「そうそう俺もゲイの同好会ってあるんだって驚いたよ!」 既にユウスケ君も見つけていたようだ。2人の話が盛り上がってきた。 「こういう同好会があるってことはキャンパス内をホモの人が歩いてるってこ…

大人の同性愛世界の入り口<1>

大学に入学して半年くらい経った。大学生になったボクは中学時代や高校時代と違い、周囲に同性愛者であることを隠していた。その影響からなのか大学時代になってから、好きな男性もいなくなり、かといって女性を好きになることもなく、恋愛感情を抱くことが…