第23章 恐るべき子供たち

恐るべき子どもたち<10>

そもそもボクは自分が子供の頃から「純粋」とは程遠い存在だと自覚していた。ボクが子供が怖いと思う根底には、その思いがあるからだと思う。自分のことを、とても計算高く、ずる賢い子供だと思っていた。 だから自分に似た子供なんて欲しいとも思わなかった…

恐るべき子どもたち<9>

子供たちは性欲と食欲という欲しいままにしていた。 ボクはショタコンに覚醒しないように必死だった。そんなボクの気持ちも知らないで、彼らのキスは続いていた。 そして長い苦行の末。ようやく新幹線は岡山駅に近づいた。 新幹線がホームに着くと、お爺ちゃ…

恐るべき子どもたち<8>

そんな風にしてボクは「過去に女性を好きになったとことがある」と言うことを密かに自尊心として持っていた。一度も女性を好きになったことがないとゲイと会うと、心のどこかで見下していた。 ボクの一生一度の異性恋愛は進展もなく友達のまま終わった。クラ…

恐るべき子どもたち<7>

その後、S君との出来事から、一直線に同性愛に目覚めた訳ではない。 小学生になって1年生と2年生の時に、同じクラスになったMさんという女の子 のことが好きになった。ただ3年生になってからクラスが離れて、あっという間に恋愛感情は無くなってしまった。 …

恐るべき子どもたち<6>

あの日以降も、S君は何度かボクの家に遊びに来た。 それからは彼との間には、何も起きなかったと書きたいのだけれど、もう一回だけ似たようなことが起こった。 「カーテン閉めて」 そうS君から言われて、ボクは理由が良く分からないまま、自分の部屋のカーテ…

恐るべき子どもたち<5>

幼稚園時代。近所にS君という男の子がいた。 両親。祖父母。そして子供が4人いるという大所帯だった。ただ一つ家族構成で特徴的だった点がある。 4人も子供がいる中「男の子はS君だけ」だったのだ。 残り3人は女の子だった。 ボクらは家も近かったことも…

恐るべき子どもたち<4>

新幹線は新大阪駅に着いた。あの兄弟は再び何事もなかったかのようにお菓子を食べている。そしてボクはその兄弟の様子を伺っている。 こういった兄弟が大人になったら、どうなるんだろうと思った。 兄が小学校4年生くらいだったとして10歳。この文章を書い…

恐るべき子どもたち<3>

あぁ……なんて微笑ましい兄弟なんだろう。そういえばボクと兄貴の間にもあんな時代もあったな。 ボクにも兄貴に憧れた時期があった。幼い頃は、兄貴がやってることを真似ばかりしていた。例えば兄貴が何かを買ってみれば、同じように真似して買ってみたり、あ…

恐るべき子供たち<2>

あの日、年末年始の帰省のため京都駅にいた。 ボクは新大阪方面に向かう新幹線に乗るために、プラットホームに立っていた。 近くには家族連れがいた。父親と母親。そして男の子が二人。兄弟らしく、兄が小学生3年くらいで、弟が小学1年くらいだった。 「岡山…

恐るべき子供たち<1>

ボクは子供が怖い。 でも、それは子供が「嫌い」という意味ではない。むしろ子供は「尊敬の念」や「畏敬の念」を持って接するべき存在だと思っている。子供と会話する時は、大人と会話する時よりも、よほど神経を使って接している。 子供から「謎の微笑み」…