第5章 同性への憧れと恋愛の境界線

同性への憧れと恋愛の境界線<11>

彼は高校を卒業して、他県の大学の医学部に合格した。 ボクはというと、苦手だった数学を暗記科目のようにして、なんとか乗り切ることに成功した。教科書や問題集の答えを意味も分からないまま暗記してしまうことで、なんとか定期試験を乗り切っていた。もと…

同性への憧れと恋愛の境界線<10>

「そういえば、兄の中学校の運動会でお会いしましたよね。一緒にご飯を食べて、遊んでもらったことがありましたよね」 兄の話の流れで、自然と本題に触れることができた。 「あぁ……そんなこともあったね。よく覚えてるね」 実は母親から指摘されて思い出した…

同性への憧れと恋愛の境界線<9>

早く話しかけないと先生が戻って来てしまう。話しかけるタイミングを見つけられないで、刻一刻と時間が過ぎていた。ドキドキしながら彼の様子を伺っていると、彼がいつものように手の骨を鳴らし始めた。 今がチャンスだ! ボクは恐る恐る勇気を出して話しか…

同性への憧れと恋愛の境界線<8>

通学中に彼の家の前を通り過ぎる時は、ゆっくり通り過ぎるようになった。 もしかして彼が家から出て来ないかな。 そう期待をしながら通り過ぎていた。結局、彼には会えなかったけど、彼の弟には出会うことができた。兄と顔が似ているので、すぐに弟だと判別…

同性への憧れと恋愛の境界線<7>

母親から話を聞かされた夜。ボクは布団に入ってから過去のことを思い出していた。 あれは確か小学五年の頃だったと思う。母親と二人で兄の運動会を見に中学校に行った時だった。朝から夕方まで運動会はあった。母親は真剣に運動会を見ていたが、ボクは中学校…

同性への憧れと恋愛の境界線<6>

好きな人のことをもっと知りたいと思う気持ちはあるけど、それは同性愛でも同じのようだ。ボクはずっと彼のことを知りたいと思っていたけれど、こんなにも身近な所で、彼の情報が沢山あるとは思いもしなかった。 彼の母親は、ボクの母親の勤め先に出入りして…

同性への憧れと恋愛の境界線<5>

彼のことを好きになってから、授業中にノートを開いては彼の名前(以下、仮名だけど『横溝』と記載する)を見てドキドキしていた。そして通学途中、彼と偶然に出会わないかいつも期待していた。 初めて年上の男性を好きになった。こういうのを憧れの先輩と言…

同性への憧れと恋愛の境界線<4>

彼のことが好きになり始めていたけど、名前も分からずに、悶々として数週間が過ぎた。 ある日、塾から家に帰ろうと ボクは靴を履いて外に出た。塾には彼と先生の二人が残っていたので、まだ残りたい気分もしたけど、用事もないのに残っているわけにはいかな…

同性への憧れと恋愛の境界線<3>

彼とは週に二回ほど塾で顔を合わせるようになった。 彼はボクの顔を見る度に、「おっす!」という挨拶をしてきて、ボクは真面目に「こんばんわ」と返していた。そして相変わらず手の骨をボキボキとマイペースに鳴らしていた。彼を観察していると、難しい問題…

同性への憧れと恋愛の境界線<2>

ある日塾に行くと、ボクが来たのと入れ替わりに、先生が小学生の生徒の送迎をするため出かけていった。先生が送迎でいなくなることはよくあったので、ボクは窓を開けて席に着き教科書やノートを開いて勉強をしている振りを装った。 先生は三十分近くは戻って…

同性への憧れと恋愛の境界線<1>

同性愛者の恋愛観について紹介したい。 恋愛観といっても、あくまでボク独特の恋愛感になると思う。過去に何人かのノンケや同性愛者に、この話を打ち明けたことがあるんだけど、みんな一様に「変わってるね」と言われたので、やっぱり一般的ではないのかもし…