第26章 深夜のカミングアウト

深夜のカミングアウトのあとがき

前職のノンケ友人(村上)との会話でカミングアウト済み関係です 神原:よっ!お久しぶりだね。 村上:最後に登場したのが、2017年12月20日だから、半年以上も間が開いてしまったんだね。そのまま忘れてもらっても構わなかったんだけどね。まだ過去の勝手に出…

深夜のカミングアウト<20>

性的対象として見られてなくて「好きだ」と言われてもないのに拒絶して、距離を取って接する人がいる一方。性的対象として見られて「好きだ」と言われても、普通に接してくれる人がいる。 ボクが好きになった彼らは後者だ。 そんな彼らは「いい男」だと言っ…

深夜のカミングアウト<19>

しばらくすると隣の部屋の電気を消す音が聞こえてきた。そして物音が聞こえなくなって静かになった。 ボクはいつも深夜ラジオを聴きながら寝ている。 出張先にも携帯ラジオを持ち込んで聴きながら寝るくらいに日課になっていた。宿泊先のホテルを選ぶ際、わ…

深夜のカミングアウト<18>

もしかしたら私の方が、もっと他人に言えない秘密を抱えているのかもしれませんよ。神原さんは男を好きだと言っているけど、こっちからすると大したことじゃないかもしれません。 これはあくまで例だけど…… その文章の続きは書くことはできない。 ただ彼はゲ…

深夜のカミングアウト<17>

既に時刻は日付を跨いでいた。 すぐ隣の部屋にいるんだから、顔を合わせて話せばいいものの、お互いに1メートルも離れていない場所で、ボクら携帯メールで会話を続けていた。 そういえば、今まできちんと言ったことがなかったけど秘密を打ち明けていい? い…

深夜のカミングアウト<16>

ボクと村上君とA先輩の3名で、ある地方都市に出張に行くことになった。 普通の出張であればホテルに泊まるけど、その地方には社員寮があった。ボクらはプロジェクトが終わるまでの1週間ほど、一緒に寮に泊まることになった。 出張の最終日。仕事が全て終わっ…

深夜のカミングアウト<15>

ボクはゲイだけど男性の裸には興味がない。 そもそも人の裸を綺麗だと思ったことがなかった。それなのに体を洗っている彼の姿を見ると「綺麗」と素直に思えた。体を鍛えている訳でもないけど、20代中盤という若さもあり無駄な肉もなかった。自然のままの体つ…

深夜のカミングアウト<14>

ボクが転職する1年前のこと。会社内で一泊二日の社員研修があった。 よくあるグループワークだの、事前に出されていたテーマにプレゼンするとか、どこの会社でもありそうな研修内容だった。どちらかというと研修よりも社員同士の親睦も兼ねて行われているよ…

深夜のカミングアウト<13>

彼とのメールのやり取りに関しては、こんなエピソードがある。 仕事帰りに総武線に乗っていた時のことだ。電車内はそれなりに混雑していた。ボクは携帯電話を出して、村上君とメールのやり取りをしていた。 メールの内容は、前述したものと変わりない感じだ…

深夜のカミングアウト<12>

「ボクから送ったメールを読んで、どう思ってるの?」 彼に一度だけ質問したことがある。 「深く考えないようにしてるよ」 彼は笑いながらそう言った。 彼の言葉に聞いて、 いやいや本気に取って欲しいんだけど? と、少し傷つきながらも、 そりゃ本気に取っ…

深夜のカミングアウト<11>

村上君は世界で一番イケメンです。それ以外の人類は死滅してもいいですよ。それにしても東京って人が多いけど、村上さんに比べたら塵以下の存在の男性しかしないですね。僕も含めて生きる価値もないです。 誕生日おめでとうございます。村上君の出身地の○○は…

深夜のカミングアウト<10>

仕事が終わって、ボクらは職場近くの飲み屋に向かった。 ボクより10センチ近く背の高い彼の顔を見上げる形で、盗みしながら一緒に歩いた。 好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好き…

深夜のカミングアウト<9>

ボクは派遣社員からの寄せられる奇異の目線を無視してパソコンの設定にいそしんでいた。しばらくするとパソコンの設定も終わってしまったので、ボクが次に参加するプロジェクトのリーダーから声をかけられ、打ち合わせをすることになった。既に導入している…

深夜のカミングアウト<8>

客先へのシステム導入がひと段落した時点で、ボクは東京の本社に戻ることになった。これからは、何か大きなトラブルが発生した時や、月に一回ぐらいのペースで客先に顔を出せばいいことになっていた。 数ヶ月ぶりに東京に戻って、ボクは新幹線から降りて、そ…

深夜のカミングアウト<7>

ボクはベッドに寝転がったまま携帯に保管している写真を見ていた。ボクは写真を撮るのも撮られるのも嫌いだけど、それでも何枚かの写真を保管されていた。その中には飲み会や社員旅行の写真があって、村上君が映った写真が何枚かあった。写真に映った彼の姿…

深夜のカミングアウト<6>

話は元に戻る。 ボクは村上君の真面目で几帳面すぎて性格的にもキツイくて、うまく周囲と溶け込めなくて抗っている姿がたまらなく愛おしく思えていた。 ストレートに言うと、彼は「めんどくさい性格」なのだ。 その「めんどくさい性格」が、人間臭くてボクに…

深夜のカミングアウト<5>

そもそも村上君のどういうところが好きになったかというと、ボクが同性を好きになるパターンとして、自分に持っていないもの(性格や生き方など内面的なもの)を持っている人に対する憧れから始まって、徐々に恋愛感情は高まっていくという点があるけど、村…

深夜のカミングアウト<4>

地方のある会社にシステム導入をするため、ボクは一ヶ月近く出張することになった。客先に常駐して、客と打ち合わせをしたり、納品してから発生した障害対応や要望対応などしたり、それに操作教育や、導入した客から呼び出されて、操作説明をしたりしていた…

深夜のカミングアウト<3>

ボクは同じ部署に配属されていた同期の村上君と一緒に新人教育にあたることになった。これは新人にとっては飴と鞭のようなものだ。 「神原さんと村上さんって対照的ですよね。でも対照的なせいか仲がいいですよね」 ある日新人からそんなことを言われた。 真…

深夜のカミングアウト<2>

それにしても高校時代、ホモのキャラクターを散々に演じてきたけど、社会人になってから、それが役に立つとは思わなかった。 「○○さん(男性)って可愛いですよね」「○○会社なら、○○さん(男性)が一番カッコよくないですか?」「○○さん(男性)の○○(体の部…

深夜のカミングアウト<1>

ホモを装った人。 それがボクの社会人一年目でついたキャラクターだった。そのキャラクターはどうあがいても消えなくなっていて、ボクは諦めに似た心境で過ごしていた。ただ正確に言うと「本当にホモなのだけれどホモを装った人」となる。なんだか複雑になっ…