第30章 兄貴への手紙
ボクは兄貴が好きだよ。子供の頃からボクのことを可愛いがってくれてたのは分かってた。 自分の弟がゲイだったなんて兄貴にとっても嫌だと思うだろうけど、なんだかんだ言って兄貴は優しからボクがカミングアウトしても受け入れてもらえる自信があるんだ。で…
◇ この場を借りて、兄貴に秘密の手紙を書きます。 「早く結婚して子供を産んで、俺にも祝いをさせてくれよ」 そう言ってくれたよね。ボクは適当に笑ってごまかしたけど。今のままでいくと、きっと兄貴からお祝いを受けることはなさそうだ。兄貴はボクのこと…
◇ 職場で仕事をしているとき、スマホのメールの着信音が鳴った。メールの相手を確認すると兄貴からだった。 お盆は帰省できるの? また……帰省の確認のメールか。ボクはメールの返信をしないでスマホを置いてから仕事を再開した。年末年始。ゴーデンウィーク…
ボクの目の先には滑り台の上に立っている男の子がいた。その子はボクの方を振り返って得意満面に手を振っていた。 危なかっしいな…… ボクはその子を見てヒヤヒヤしていた。ボクの気も知らないその子は滑り台を滑って降りて来た。楽しくてたまらないようで、…