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ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

大人の同性愛世界の入り口<5>

気分転換のため銭湯へ行きはじめたボクは、露天風呂に浸かって星を見ながらよく考え事をしていた。ボクの大学時代は、就職の氷河期と言われた時期で、企業の採用人数が少なく就職が難しかった。大学入学時から就職活動のことを意識して過ごさないと就職先も見つけにくかった。特技もないし、特にやりたいこともなかったボクは悩んでいた。今になって思えば、センチメンタルに星空なんて見上げて悩んでいる時間があったら、早く何か行動でもしたら?と言ってあげたいけど、早い話・・・当時のボクは大学生の特権でもある膨大な自由時間を持て余していた。

その後、何回か銭湯に通っているうちに、常連客がいることに気づいた。常連客は8人くらいだった。その常連客の中に、はじめてショウタ君と一緒に銭湯に行った時、サウナルームにいた30代くらいの男性がいた。

「ボクみたいに常連客の人達も気分転換で来てるのかな?家の風呂と違って広くてゆったりできるもんな〜」

ボクは風呂に浸かりながら呑気に考えていた。

ある日、銭湯に来たボクはいつものように内湯のドアを開け、外に出て露天風呂に入っていた。露天風呂には誰もいなかったので、のびのびと湯船に浸かってくつろいでいた。ボクが露天風呂に浸かって、しばらくするとドアが開いて、20代後半くらいの人が外に出て来た。顔を見るといつもいる常連の一人だった。彼は鍛えているのかマッチョで、顎髭を生やし、日焼けしているのか肌が黒かった。

彼はボクの方を少し見てから、体をお湯で流した後、ボクの近くの湯船に入って来た。

「この人・・・湯船には誰もいないから、もう少し離れたところにはいればいいのに」

変な人だなと思ったボクは、湯船の中を徐々に移動して少し距離を取った。彼を見ると湯船で顔を洗い気持ちよさそうに浸かっていた。その後、ボクは彼の存在をすっかり忘れて別のことを考えはじめていた。すると突然、ボクの方を見て声をかけて来た。

「君はここら辺に住んでいるの?」

話しかけて来るとは思っていなかったボクは驚いた。

「えっ?・・・はい。そうですけど」

彼を見ると笑顔でボクの方を見ていた。

「大学生?」

「はい・・・大学生ですけど」

彼は次々に質問して来る。

「実家から通ってるの?」

「いえ・・・実家は◯◯県ですけど」

「◯◯県か。一度行ったことがあるな」

「そうですか」

「一人暮らししてるの?」

「はい・・・そうですけど」

ボクは困っていたが邪険に扱うこともできず、彼からの質問に真面目に返答していた。話が途切れて少し間があった。ようやく話が終わったかと思ったけど、まだ彼はボクを見ていた。そして彼はボクの方をじっと見ながら、湯船に浸かったままゆっくりと近づいてきた。

「君・・・可愛いね」

えっ・・・この人は何て言ったの?状況が飲み込めないボクに彼は笑顔のまま近づいて来た。

「一緒にサウナ入ろうか?」

そう言いながら湯船に入ったまま右手伸ばして、ボクの左足を触ってきた。全く予期せずとんでもない発言を浴びせられた上に、急に体を触られたボクは頭の中が真っ白になって反応ができなかった。

<つづく>