同性愛者としての初体験<5>

 ボクらは話したいことが沢山あった。でも、いきなり本題には入らずに、高校時代の思い出の話。同級生の進学先の話。大学生活の話などあたり触りのない会話から始めた。そして打ち解けてきた頃合いを見計らって、ボクの方から本題を切り出した。

「そういえば・・・ヨウスケ君ってどこの大学にいったの?」

 高校時代のボクは同級生のヨウスケ君が好きだった。ヒロト君はヨウスケ君の友達だったので、進学先を知っているはずだ。

「神原さんって、あいつのことがまだ好きなの?」

「今でもヨウスケ君を好きなのかは、会ってみないと分からないよ」

 ボクは照れながら言った。

「あいつも同じ関西の◯◯大学いるよ」

「◯◯大学って近いね。お互い連絡は取ってるの?」

「全く取ってないよ」

 ボクはヨウスケ君が近場の大学にいると聞いて喜んだが、ヒロト君は相変わらずヨウスケ君に興味がなさそうだった。この会話がきっかけになり本題が始まった。

「神原さんって彼氏はできた?」

「いないよ。そっちは?」

「こっちもいない。相変わらず友達にもカミングアウトはしてないよ」

「ボクも大学時代からは周囲に、ゲイなのを隠してるよ」

 ボクの発言を聞いてヒロト君は驚いていた。

「マジで!あんなに高校時代はゲイなのをオープンにしてたのに?今日の昼、一緒にいた人も神原さんがゲイなのは知ってると思ってた!」

「高校時代はオープンしすぎて母親にもバレたし、大学からは隠してるんで周囲には秘密にしといてね」

「そうか・・・神原さんも隠してるのか。でも隠してたら出会いがないよね?」

「うん・・・出会いはないね。隠さなくてもないけど」

 ボクは思い切って切り出してみた。

「あのさ・・・ハッテン場って知ってる?」

<つづく>