ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

いつも見ている風景<2>

 しばらくすると、再びロッカーの扉を開ける音がした。ロッカーの中の荷物をさわる音がガタゴトして扉を閉める音がした。そして廊下を歩く足音が聞こえる。ボクの見上げている薄暗い天井に微かに一人の人影が揺れている。扉を開ける音や、カーテンをめくる音が聞こえる。シャワーを浴び終わった人が、どこかに好みのタイプがいないか部屋を探し回っているに違いない。

 足音はボクの寝ている部屋に近づいてくる。ボクは毛布を下げて顔を見えるようにした。ボクの寝ている足元で足音が止まった。ボクは目をつぶって固唾を飲んだ。カーテンをめくる音が聞こえた。誰かが個室に入ってきたようだ。そしてボクの寝ている布団の上を歩く音が聞こえる。ボクはずっと目をつぶって寝ている振りをしている。ボクの枕元で足音は止まった。ボクの顔を覗き込むように見ている気配がする。でもボクは目を開けない。

 数秒間の沈黙。

 やがてボクの寝ている個室から出ていく気配がした。足音はどんどん遠ざかっていく。ボクは目を開けて寝返りを打った。マットレスも敷かれていないので、ずっと同じ姿勢で寝ていると体が痛くなる。

 いったいどんな顔だったんだろ。

 店に入ったばかりなので、他の部屋も確認してからボクの所に戻ってくるかもしれない。ボクはあれこれ想像しながら、次の人がやってくるまで寝たまま待つことにした。

 また何人かが廊下を行き来していた。ボクは相変わらず薄暗い天井を見つめながら天井に映る人影を見ていた。遠くの方で話し声が聞こえる。休憩室でテレビを見ながら雑談しているようだ。笑い声を聞こえてきた。

 しばらくするとボクの寝ている部屋に誰かが近づいて来る気配がした。ボクが寝ている個室の前で立ち止まった。ボクは目をつぶって個室に入ってくるのを待った。しばらく待っても動く気配がない。やがて動く気配がすると、レースのカーテンをめくる音が聞こえて、ボクの寝ている個室の隣に入って来た。そしてボクと同じように毛布を被って寝転がった。

<つづく>