ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

本当は同性が好きなの?<1>

 ある女性から電話がかかって来た。

 ボクが転職する前の会社で総務をしていた女性だ。ボクよりも五歳ほど年上で、ボクと彼女は、なぜか気が合って、よく二人で昼ごはんを食べに行ったり、飲みに行ったりした。既に結婚していて旦那も同じ会社に勤めていて、ボクと同じ部署にいた。ボクと彼女はただの友達関係だ。

「神原君って結婚したの?」
「いや……まだですよ」
「早く結婚しなよ?」

 ボクは内心で余計なお世話だと思いながら、どう誤魔化そうか考えた。

「いや……村上君以外の人が好きになれないんですよ」
「まだ村上君のことが好きなんだ! 昔から村上君のこと大好きだもんね」

 彼女はボクの言葉を冗談と解釈したようで電話の向こうで笑っていた。そんな感じで、一時間近くお互いの近状を電話で話して切った。そして電話を切った後、ボクは彼女にまつわるある出来事を思い出していた。

 あれはボクが前の会社を退職するために最後に訪れた日だった。

 ボクは退職の説明を受けてから、セキュリティタグを会社に返してしまったので、会社から出ることもできなくなっていた。それで総務に行って彼女に出口の鍵を開けてもらおうと思っていた。

「あの……タグを返したから外に出れなくなって出口を開けてもらえませんか?」

 彼女はボクが退職説明を受けるために来ていたのを知っていた。そもそも今日、会社に来るように電話で連絡してきたのは彼女なのだ。

「そっか……外に出れないんだ。じゃあ代わりに開けようか」

 ボクは彼女の後をついて、一階の出入り口に向かった。そして出入り口に着いた彼女は急に振り返って、じっと真剣な目をしてボクの顔を見つめた。いつも笑いながら冗談ばかり言っていたので彼女の態度の豹変に驚いた。

「最後に訊いてもいい?」

 何か思いつめたような感じで、彼女はゆっくり言葉を発した。

「何ですか?」

 この人はいったい何を言い出すんだろうと、ボクは内心恐れていた。

「神原君って……本当に同性が好きなんじゃない?」

<つづく>