ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

本当は同性が好きなの?<2>

 今まで、ここまで真剣に「同性が好きなんじゃないの?」と質問されたことはなかった。ボクは予期していなかった質問に狼狽していた。

「なんで……そんなこと訊くんですか? 今日が会社に来る最後の退職日ですよ。そんなの最後にする質問じゃないでしょ?」

 ボクはごまかし笑いをしながら茶化して言った。

「そうなんじゃないかって前から思ってたから。もしそうなら……みんなでずっと神原君を傷つけて来たことになるし」

 彼女は全く笑っていなかった。あぁ……この人は本気で言ってくれてるんだ。彼女の真剣な目に吸い寄せらて、中途半端な回答できなくなった。ボクは回答に窮して、ほんの二、三秒だけど沈黙した。その沈黙の間に、様々なことを想像していた。恐らく、彼女には本当のことを打ち明けても問題はないだろう。彼女は旦那には話すかもしれないけど、それ以上に広まることはないと思った。

 この人になら……打ち明けてもいいかもしれない。

 ボクは自分が同性愛者であることを認めようかと思った。そうしないと彼女の真剣な態度に失礼だと思った。ボクは意を決して彼女に打ち明けようとした。

「違いますよ」

 ただ……口に出した言葉は、頭で考えたこととは違っていた。

「本当なの?」

 彼女の目は信じていなかった。

「えぇ。違いますよ」

 ボクも誤魔化し笑いをせず、彼女の目を真剣に見つめかえして言った。

「同性とか全く興味ないですよ。冗談で言ってるだけですよ」
「そうなんだ……よかった」

 彼女の目には、少し疑いの色が残っていたけど、それ以上の追求はしてこなかった。

「じゃ……そろそろ出ますね」

 ボクの言葉を受けて、彼女はセキュレティタグをかざして出口を開けてくれた。

「また連絡するね」
「はい! 待ってます。今度は旦那さんと一緒に飲みに行きましょうね」
「次の仕事場でも頑張ってね」
「ありがとうございます。そちらも頑張ってください」

 ボクは笑顔で頭を下げて、彼女に見送られながら会社を後にした。

<つづく>