ゲイブログを書く前後<1>

 なんか妙なタイトルの小説が置いてる……

 ボクは本屋の小説のコーナーの棚の前に立っていた。そして何か興味を引くような小説がないか探している時だった。作者名が50音順に並んでいて「あ行」を通り過ぎて「い行」に差し掛かった時のことだった。奇妙なタイトルの小説があることに気がついた。

『ボクの彼氏はどこにいる?』って……あれ?
 
 背表紙の著者名には「石川大我」と記載されていた。全く知らない作家だった。ボクはタイトルに違和感を覚えながら吸い寄せられるように棚から小説を取り出した。

 「ボク」の「彼氏」ってことは、男×男って関係ってことだよね?

 その小説が並んでいたのは「講談社文庫」の棚で真面目な小説ばかり並んでいた。その中でも『ボクの彼氏はどこにいる?』は異彩を放ったタイトルだった。これが『ボクの彼女はどこにいる?』だったら男×女って関係だから、特に目を引くこともなくスルーしただろう。
 
 本の表紙を見ると、雑貨店の前に爽やかな男性が座って横を向いていた。そして表紙をめくると著者の写真があって、これまた眩しいくらいに爽やかな髪を染めた男性の姿があった。

 この人が「石川大我」なのか……なんて爽やかでイケメンな作者なんだろう……
 
 自分の顔と比較すると憂鬱になりそうなくらいイケメンな男性だった。そして小説をめくって簡単に読んでみた。内容は著者の実体験をまとめた内容のようだった。

 やっぱりこの作者はゲイなんだ……

 ページのいたるところに「同性愛」「ゲイ」「カミングアウト」という文字があった。

 ボクは勇気を出してこの小説を買うことにした。

 決してイケメンな著者に惹かれて買うことを決めた訳じゃない。そうだ……ボクは自分がゲイであることを自覚していて道を模索するためにこの本を買ったのだ。

 嘘である。

 正直に書くと、このイケメンの男性がゲイであることに衝撃を受けて彼が書いた文章を読んでみたいと思っただけだ。

 このサイトを立ち上げて文章を毎日書き始めて1年が経った。

 この日、『ボクの彼氏はどこにいる?』を買わなければ、きっとボクはこのサイトを始めていなかった。

 今回はこのサイトを立ち上げるまでのこと。このサイトに文章を書きながら起こったことを書いていこうと思う。

 始めに断っておくと今回の内容は同性愛的な内容は少ない。ただ……突如、沸き起こってきた「どうしても書いてみたい」という衝動に従って素直な気持ちで書き始めていきます。

<つづく>