LGBTブームと気持ちの変化<10>

 2月25日の日曜日。福岡市内は小雨だった。

 ボクは福岡市の中州にある「福岡アジア美術館」に来ていた。なんでこんな場所に来たのかというと理由がある。ちょうど3日前に家でtwitterのタイムラインを眺めていると気になる情報を見かけた。

 

 このツイートを見て、福岡アジア美術館で九州産業大学の卒業制作の展覧会があって、その展覧会にLGBT関係の出展があることを知った。九州産業大学の学生がLGBTの啓発活動をしていて、その活動をまとめた展示物だった。内容は性的マイノリティをもっと深く知ってもらうことを目的としているようだった。

 なんだかよく分からないけど……この出展を実際に目で見てみたいな…… 

 そんな感じの漠然とした気持ちだったけど、でも何故かこの展示物を実際に自分の目で見てみたいという衝動が沸き起こって来た。

 過去にも何度か福岡アジア美術館に訪れたことがあったから、LGBT関連の展示物を見に行くのに、あまり抵抗を感じなくて行ってみたいという気持ちになった。これが前回の冷泉公園のイベントが行われている場所まで、実際に足を運んだことからの成長なら嬉しいけど、よく分からない。

 ボクは福岡アジア美術館に入って7階まで直通のエレベータで上がって、エスカレーターで8階の展覧会の会場まで上がった。展覧会の会場の前の受付には、大学生らしき男性が2名と女性が1名ほど座っていた。

 確か入場料は無料だったよね……

 立ち止まって入り口付近のポスターを見て入場料の確認をしていると、受付に座っている女性が「どうぞ」と手で案内してくれたので、ボクは案内されるがままに展覧会に入場した。

 目的のLGBT関連の展示物を探して進んでいたけど、その他の展示物も思っていたよりも面白くて1つ1つ眺めながら歩いて進んだ。そして会場の一番奥の部屋に、お目当の展示物を見つけた。

 

 その展示物の内容を簡単にまとめると、LGBT関連の用語を説明したパネルがあった。ノベルティグッズが展示されていた。過去の活動内容を紹介もされていた。

 LGBT当事者に3つの質問をアンケートで取って、その回答を青色(不快に感じた周囲の言動はありますか?)、緑色(快く感じた周囲の言動はありますか?)、赤色(当事者から当事者へ贈る応援メッセージ)のそれぞれの文字色でパネルに書かれた展示物がメインの展示物だった。

 

 ボクは展示物の周りを何度も回って眺めながら、なんでこの展示物を見たいと思ったのか、ようやくはっきりと認識できた。
 
<つづく>