LGBTシンポジウム参加レポ<11>

ーーーここからディスカッションが始まる

●コーディネーター
Rainbow Soup(レインボースープ)代表 五十嵐ゆり(下のtweet写真右端から2列目)

●パネリスト
渋谷区総務部男女平等・ダイバーシティ推進担当課長 永田 龍太郎 (写真中央)
九州レインボープライド代表 三浦暢久(あなたの のぶゑ) (写真左端)
福岡県弁護士会 LGBT小委員会 LGBT小委員長 石田光史 (写真右端)
株式会社 三好不動産 社長室 執行役員 松本茂規 (写真左端から2列目)

 

→五十嵐氏
 この後は、登壇していただいた方にディスカッションしていただきたいと思います。早速ですが、第一部の永田さんの話を聴かれた他の方の感想をお聞かせくださいますか? また永田さんからも他の方の話を聴かれた感想をお聞かせくださいますか?

→永田氏
 皆さんのお話をお伺いする中で感じましたが、どう当事者との接点を作っていくのか、また当事者が安心して利用していただけるような接点を作っていくのかは、非常に難しいです。例えば携帯電話の家族割を「同性カップルも大丈夫です」と企業が宣伝しても、じゃあ私にパートナーがいたとして近くの携帯ショップに行って、「同性カップルで家族割したいんですけど?」と言ったところで、「本当に挙動不審にならずに対応してもらえるんだろうか?」というところは、凄く距離があると思います。不動産の賃貸という非常に相談しづらい中で、現場で性的マイノリティへの対応を見える化していただいてるケースは、全国にもまだまだ稀です。こういった顧客接点で積極的な取り組みをされているのは、博多にもありますがマルイさんです。プライベートブランドの靴やスーツのサイズの幅も大きく、トランスジェンダーの方にも喜ばれていて、マルイさんは非常に力を入れています。マイノリティの問題に対してCSRとして取り組んでいらっしゃいます。実は去年の夏に三好不動産さんにヒアリングにお伺いさせていただきました。私の方からどういった取り組みをされているのか経緯や課題など聞かせてもらったのですが、それくらい現場での取り組みが見える化されているのは少ない状態です。

→五十嵐氏
 昨日の朝日新聞の中に三好不動産の社長のインタビューが掲載されていましたが、積極的に性的マイノリティの課題に取り組んでおられます。去年の福岡のパレードにブースを出展されましたが、50組くらいの相談が来て、成約実績もあるとのことだったですが、詳細を聞かせてもらえますか?

 

→松本氏
 去年パレードに参加させてもらった際に、ブースを設置させてもらえることになりました。我々は直接商品を売ることができないので、「何をしようか?」と話をした結果、相談コーナーを設けることになりました。相談窓口を設置したところ、約50人が1日で来られました。その時に、LGBTの「お部屋探しQ&A」というパンフレットを簡単に作りまして、必要とされる方にお配りしました。もともと不動産契約は分かりにくので、それを分かりやすいように少しでもお手伝いできればいいなと思って、簡単にまとめました。もう少し内容を充実させていきたいと思っています。

→五十嵐氏
 先ほど、永田さんがおっしゃった「安心感」という意味では、約50人の方がいらした背景には、パレードでのブース出展というのも大きくあるのかな?と思うのですが、実際の店舗での安心感という意味ではいかがでしょうか?

→松本氏
 最近は、SNSの発信など積極的にやらせてもらっていますが、問い合わせ件数だけで言うと、年間150件以上はあると思います。ただ成約となると20件ぐらいかと思います。安心して入っていただけるような窓口の取り組みとしては、窓口にレインボーマークをつけたり、名刺にレインボーマークをつけてみたり、レインボー色の社章のつけたりしています。こういった気楽な取り組みをやることがいいのではないかと思っています。

→五十嵐氏
 社長はいつも社章を付けてらっしゃるのですか?

→松本氏
 社長はいつも社章を付けている訳ではありませんが、担当店舗ではいつも付けています。

→五十嵐氏
 もう少し「安心感」をキーワードに話を続けていきたいのですが、先ほどのパレードのブース出展の話がありましたが、石田さんも同様に弁護士として相談窓口を設置したと説明がありましたが、相談の実績はありましたでしょうか?

→石田氏
 先程も説明しましたが、公園に設置したテントを幕で仕切っただけなので、私たちとしても無料法律相談の出展を謳いつつも、「なかなか相談はないだろうな」と思ってやっていました。こういった場所に弁護士会がブースを出していると示せることが重要かなと思っていましたが、6件くらい相談が来ました。相談内容が特殊なもので抽象化しても分かるので申し上げられないのですが、同性カップルに関する相談だとか、あるいはパートナーの方が亡くなられてどうしたらいいのか?といった相談がありました。やっぱりニーズはあるんだなと感じました。

→五十嵐氏
 そういった要望のパレードという場所を作ってらっしゃる三浦さんとしては、お話を聞いてどうでしょうか? 確かパレードは「未来の全ての子供たちのために」というテーマだったと思いますが、いろんなことに対する安心感とか、この街に住み続けたいという気持ちになって欲しいという思いはあったんでしょうか?

→三浦氏
 あります。やはりパレードをするにあたって、未来のある子供たちに対して伝えていけたらいいなと思いがありました。また当事者の子供たちも住みやすいと思ってもらえたらいいなという思いがありました。「私たちがいる」ということを知ってもらうことで、「ロールモデルがちゃんといるんだよ」。「ちゃんと生きてる人たちがいるんだよ」ということを、知ってもらいたいと思っていました。今、生活をしている当事者が沢山いるということで、彼らが安心して生活できる環境づくりも同時進行でやっていかなくてはいけないと思っています。私たちがパレードでできることは、その取り組みを実践されている方々を紹介することしかできないので、その環境づくりというのが、私たちの一つの使命かと思って活動しています。

<つづく>