ラッシュを吸った人と肉体関係を持ったのは、この人が最初で最後だった。
だから他の人がラッシュを吸って、どうなるのか分からない。ボクの勝手な想像では、ラッシュを吸うと頭や体がとろ~んとして、ぼんやりなるのかと思っていた。
ただ、ボクの前でラッシュを吸った男性は、全く想像と違っていた。
下を向いて体がビクッと震えた後、苦しそうな表情が浮かべて、それが徐々に緩和するに従って、顔を上げた時には、さっきまでと表情は全く違っていた。
彼のボクを見る目はつり上がっていた。
彼は腕を伸ばしてボクの髪をつかむと、ペニスを咥えるように突き出してきた。
さっきまでのドMの表情や仕草や口調は消えて、ドSに豹変していた。
あっ……この人はヤバイ状態だ。下手に逆らうと殴るか殺されるかもしれない。
と思った。
彼はうめき声を微かに上げていた。なんだか野獣と出くわしたように感じた。
強引に髪をつかまれて痛かったけれど、怖くて拒絶することができなかった。しばらくフェラさせた後、彼はボクを布団に押し倒した。ボクと同じくらいの背格好なのに、どこにこんな力があるのかと思うくらいに力強かった。
そして彼がゴムをしないままバックをしようとしていることが分かった。
「ゴムだけはつけてください!」
ボクが懇願すると、めんどくさそうにティッシュ箱の中に手を入れた。そして箱の中からコンドームとローションを取り出した。どうやらラッシュといい、彼はティシュ箱の中に、いろいろな物を隠しているようだった。
ボクはバックが未経験だった。
彼にも事前に「未経験だからバックは無理」と伝えていて、了承をもらっていたはずなのに、無理やり挿れてきた。布団の側に置いてあったラッシュの瓶を手にとって、ボクの顔に近づけて吸うように言ってきたけど「嫌です」と再び拒否した。ドラックを使うのは絶対に嫌だった。そこだけは譲れなかった。彼はイライラした感じで乱暴に体を動かした。
はっきり言って、きちんと入っていなかった。
それでも彼は気にもしなかった。
きちんと入っていないとはいえ、初めてのバックは、気持ちいい感覚が全くない訳ではなかった。でも何よりも痛かった。それに彼の声が大きすぎてヒイてしまった。隣の部屋にも聞こえてるだろうと冷静になっていた。
しばらくして彼がイッた後、今度は馬乗りになってボクの体に乗ってこようとした。ボクは「ちょっと待ってください!」と言って、ティッシュ箱の中を探すと、予想通りコンドームが見つかった。
彼はボクのペニスに馬乗りになって体を動かし始めた。
気持ちがよかったけれど、それよりも恐怖心の方が勝っていた。相変わらず彼の声は大きくて、それが逆にボクを冷静にさせた。
しばらくして徐々に彼が疲れて弱っていくのが分かった。それを見計らって、
「そんな無理矢理やらなくてもいですよ」
そうやって声をかけた。ただ彼は疲れているのに止めなかった。
「ボクは本当にイカなくてもいいので、無理にしなくていいです」
もう一度、声をかけた。今度は彼の腕を掴んで動きを止めてさせてから言った。さっきまでの異常な力強さは無くなっていた。彼の体の動きは簡単に止まった。
「本当にいいの?」
「本当にいいですよ」
その言葉を聞いてから、彼はティシュで体を拭いてからバタンと布団に横になって目をつぶった。ボクは自分の体を拭いてから、彼の寝顔を見つめていた。
<つづく>