ゲイとしての居場所作り2018年秋<6>

ショウタさんに九州レインボープライドの状況をあらかた説明し終わってから、

「もう、これでああいったイベントに行くことはないと思います」

と言った。

そういえば以前から少し気になっていたけれど、二人で会話する時は、どこかお互いに丁寧語で話しているような気がする。年上のボクの方が丁寧語で話しかけてしまうから、彼の方も仕方なく付き合ってくれてるのかもしれない。

もともとボクは職場で年下の同僚が相手でも、丁寧語で話してしまう性格なんだけど、他のゲイのカップルはどうなんだろうか? 

ボクは人に馴れ馴れしくするのは苦手だし、どんなに親しくなっても相手に対して礼儀を持って接したいから、しばらくこのまま丁寧語で会話を続けたいと思っているけど、それはそれで余所余所しくてめんどくさいかもしれない。

でも最近は少しづつだけど、そんな生真面目な性格が壊れてきて「どうでもいい」と思えるようになってきた。

バスに乗って天神の明治通りを走りながら少しだけ彼の方に寄り添ってみたりする。端から見れば男同士で接近して乗っていれば「あいつらホモだろ?」って見えるかもしれない。

でも男同士でバスや電車に一緒に乗るのも、当初は恥ずかしかったけれど徐々に慣れてきた。一人で生きてきたのが長いせいなのか、家系的なせいなのか、ボクは人に甘えるのが苦手だ。しかもかなりの恥ずかしがり屋だったりする。

そういえば少し前にtwitterのアカウントを閉鎖した。

アカウントを閉鎖した理由はいくつもあるけど、一番の理由は「もっと別のことに時間を使いたい」と思うようになったからだ。

もともとtwitter機能は有効活用ができてなくて持て余していた。

もはやtwitterは建設的な意見のやり取りをする場所じゃないと思っていて、途中から非公開アカウントにしていた。それにネット上の情報収集は別の方法でやっていた。福岡で出会った人たちや、一部の人と個別にやり取りの場所ぐらいにしか使っていなかった。ただtwitterのアカウントを持っていると、ついつい用事もないのに画面を見て時間を使ってしまっていた。

どうせならもっと別なことに時間を使いたい。

ショウタさんとの時間にも使えるし、このサイトの文章を書く時間を作るのにも使える。そう思ってアカウントを削除することにした。もっと有効的に時間を使いたかった。

アカウントを削除するにあたって何人か気になっている人がいた。

一人目は、このサイトを通して「実際に会いませんか?」と初めて言ってくれた人。

二人目は、このサイトを通して初めて福岡で会った人。

三人目は、このサイトを通して知り合い、いつか会いたいと思っている人だった。

最初の一人目の方は、今は別にやることがあってネットから離れているので連絡が取れない。残りの二人には個別に連絡を取ってからアカウントを閉鎖した。

二人目の人はボクにとって特に大切な人だ。

もし福岡で最初に出会ったのが彼じゃなかったら、今こうやってショウタさんと一緒にバスに乗っていなかったかもしれない。彼と会った後も、福岡で別のゲイの人と会ってみようという気持ちにならなかったと思う。

マイペースな人で、初めて会って一緒に天神の岩田屋近くを歩いている時に、彼が大きな欠伸をしたのをはっきりと覚えている。

あぁ…この人いいな。

彼の眠そうな横顔を眺めながらそう思った。働いてる業界も同じだし、いつかまたどこかで出会う機会がないかと思っている。

<つづく>