ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

ライナーノーツ<11>~同性への憧れと恋愛の境界線~

「二十年近く経つのに忘れられない人がいる」

ボクは高校時代に好きになってしまった二歳年上の彼のことを未だに引きずって生きている。今でもどこか彼に似ている要素がある人を好きになる。何かをする時や、何かを考えたりする時に、「彼ならどうするだろう?」と思いながら生きている。「彼が見て恥ずかしくないような生き方をしたい」と思って生きている。

ここで書いている「彼」とは、高校三年生の「彼」であって、現在の「彼」ではない。

高校時代、ボクは将来の夢も無く、何かになりたいといった願望が全くなかった。同級生を相手にホモのキャラクターを道化のように演じて生きていた。そんな自分に対して自己嫌悪の塊になっていた。

そして自己嫌悪に陥っている最中に彼と出会った。

その塾には彼と同じ学校の同級生たちが何人かいた。二歳年上の彼らの会話はとても面白くて、ボクは会話を聞きながら笑いをこらえるのに必死だった。油断すると机を叩きながら大笑いしそうになるのをこらえて顔がゆがんでしまっていた。そんなボクの姿を彼らも気が付いていて、道ですれ違う度に、同じ学校の後輩のように声をかけて優しく接してくれるようになった。ボクが年上の男性に惹かれるようになったのは、この瞬間なのかもしれない。

そんな二歳年上の先輩たちの中でも「彼」の存在は異質だった。

彼は同級生たちと手短に会話をしてから脇目も振らずに問題集に向かっていた。同級生たちが会話をしてボクがその会話を聞いて笑いをこらえている最中も、彼は黙々と勉強していた。真剣に勉強する彼に対して同級生たちが尊敬の念を持って接しているのが部屋の空気で分かった。

彼がひたむきに本気で勉強に打ち込む姿を見て「美しい」と思った。

ボクは「彼のことが好きだ」と思った。そして「彼のようになりたい」と思った。彼のような人間に一歩でも近づきたいと思った。それから彼のようにできるだけ真面目に生きていこうと決めた。全てにおいて中途半端なボクだけど半歩でもいいから彼に近づきたいと思った。

現在の彼に実際に会ってみたところで幻滅するのは分かっている。でもボクは大人になった今でも彼に「会ってみたい」という気持ちと「会わない方がいい」という気持ちで揺れている。ボクが好きなのは夢をかなえて働いている彼の姿じゃなくて、夢を追いかけている高校時代の彼の姿だ。なりたいものになろうと本気で頑張っている彼の姿だ。そんなことは分かっているのに未練がましくも帰省した際、偶然に出逢うことを期待して彼の家の前を歩いたりしている。

あれから20年近く経った。

「ずっと彼の後を追いかけて生きてきたけど、高校時代に好きだった彼に少しでも近づくことができたのだろうか?」と思ったりする。そして「少しぐらいは追いついたかな?」と己惚れる時もあったり「全く追いついていない!」と失望する時もある。

どうやらボクは死ぬまで、高校時代の彼の姿を憧れて追い続けていくことになりそうだ。

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