おのぼり二人紀行<27>

日本民藝館に関しては「言葉」以外に「手仕事」についても書きたいのだけれど、それは旅行4日目の出来事の中で書くことにする。

 

僕たちは日本民藝館を出て駒場通りを歩いた。それからしばらく住宅街を歩き続けて、井の頭通りに出てから左折して古賀政男音楽博物館の側を通り過ぎた。途中でレンタサイクルを使いたかったけど、駐輪されている自転車のバッテリーが少なかったので断念した。代々木上原駅にたどり着いてから電車に乗って東新宿駅にたどり着いた。

 

東新宿駅から、さらに住宅街を歩き続けてインドネシア料理の『モンゴモロ』という店で夕食を取ることにした。

 

彼はナマズを美味しそうに食べていて僕も何口か食べさせてもらった。

 

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彼が僕のアパートに来始めて間もない頃、近所を一緒に散歩している途中、橋の上からナマズが泳いでいるのに気が付いた。彼は「食べたら美味しいのに!」と何度も言って、川に降りて捕まえることができないのを悔しそうに眺めていた。命拾いしたナマズは優雅に泳ぎながら草むらに消えていった。もし彼が網を持っていたら本気でナマズを捕まえて、僕のアパートに持って帰り料理した可能性があったと思う。それから彼はナマズ料理の思い出を語り出した。僕は彼の話を聞きながらも横顔を見て「やっぱりこの人面白いわ」と思っていた。彼がナマズを捕まえるというのなら止めはしなかっただろう。

 

他の客はインドネシア人ばかりだったみたいで、皆器用に手掴みで食べていた。僕たちも手掴みで食べたけどなかなか難しかった。本格的なインドネシア料理で、かなり辛い料理が好きな人じゃないと厳しいかもしれない。僕たちは汗だくなりながら食べ切った。暑い日に汗をかきながら辛い料理を食べるのは相性がいいみたいで、僕は前日の夜と同じように元気を取り戻した。

 

店を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。途中で東新宿の雑貨店に寄って、彼は海外の食材を買っていた。どうやら1日目の高田馬場で食べたベトナム料理を再現するつもりみたいだった。次の目的地に向かう途中、「ゴールデン街」という看板が目に入った。僕は「寄ってもいいですか?」と言った。中学時代に遠藤周作の小説が好きで読んでいたけど、ゴールデン街という地名がよく登場していたのを思い出していた。残念ながら彼はお酒を全く飲まない。僕の方も付き合い程度しか飲まないので少しだけ散策して後にした。

 

それから寄り道をすることなく、ようやく次の目的地にたどり着いた。

 

次の目的地は新宿2丁目。

 

僕たちにとって初めてのゲイバー体験を迎えることになった。

 

<つづく>