ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

ゲイ集う成人映画館の散策記<2>

「京都ハッテン場ガイド」というホームページに関して、書かなくてはいけない話がある。いつか書こうと思っていたのだけれど、この機会に書くことにする。

 あれは大学2年の秋から冬の間のことだった。ボクは「京都ハッテン場ガイド」というホームページに出会って、まさに京都市内のハッテン場を巡り歩いていた時期のことだった。

 今まで全く知らなかった「ゲイの世界」の一面を「京都ハッテン場ガイド」は教えてくれた。とても大切なホームページだった。

 ハッテン場のどこが出会いのスポットなのか写真付きで解説してくれた。

 ハッテン場でどんなことを経験したのか体験談も書いてくれていた。

 ボクは毎日のようにホームページを見ていた。突然にホームページが消されてもいいように、自分のパソコンにWEBページを保管していたくらいだった。今までゲイ関連のホームページを数多く見てきたけれど、「京都ハッテン場ガイド」ほど衝撃を与えてくれたホームページはない。

 ボクの大学時代のゲイ活動の根本には、いつも「京都ハッテン場ガイド」の存在があった。

 あの日、ボクは四条河原町であったサークルの飲み会が終わって、歩いて「河原町通」を北に向かっていた。京都市内を横につきぬけている「御池通」を通り過ぎて、「丸太町通」までやってきた。そして左に曲がって「丸太町通」に面している「●都●所」にやってきた。夜の「●都●所」は人気もなくて静まりかえっていた。ボクは酔い冷ましに自販機で買った水を飲みながら、トイレ前のベンチに座って夜空を眺めていた。

 わざわざ夜空を眺めるために「●都●所」まで来たのではない。恐れ多くも「●都●所」は野外のハッテン場のスポットでもあるのだ。

 ボクはこの時期、誰か話し相手になってくれるゲイの友達が欲しくて、ゲイ仲間に出会える場所に訪れていた。ただ「●都●所」に来るゲイの人たちは年齢層が比較的に高いようで、大して期待してはいなかった。過去にも2度くらい来たことがあって、どの人もボクの父親よりも年上の人ばかりだった。

 今日は誰も来ないなー

 時刻は0時を過ぎていて、ベンチに座って両足をフラフラとバタつかせて暇つぶしをしていた。「もう帰ろうかな?」と思っていると、微かに遠くの方から砂利を踏む足音が聞こえてきた。

 あっ……誰か来た。

 足音がする方を見ると、背が高く体格のいい男性が歩いてきた。「いつも来る人たちよりも若い感じの人だな」とシルエットを見ただけで分かった。ボクは慌てて下の方を向いて目が合わないようにした。その人は、ボクの近くまで歩いて来て立ちどまった。それから周囲を見渡した後、隣のベンチに座った。

 どんな感じの人なのかな……

 ボクはドキドキしながら相手の反応を待った。でも相手の方は何の動きもなかった。ただ自分の方を見ていると気配で察することはできた。隣の席の人の動きがなかったので、ボクは恐る恐る顔を上げて見た。すると隣の席の人も、真正面からボクの方を見ていてバッチリと目が合ってしまった。目があった瞬間に、同じゲイ仲間だと確信が持てた。年齢は30代から40代くらいだと思った。目があうと隣の男性は少しボクのベンチの方に体を移動して来た。

 ボクは思わず喋りかけてしまった。

「あっ……あの……ここって。そういう場所なんですよね!」

 急に話かけられて相手の男性も「えっ?」と驚いて戸惑っていた。

「そうだよ」
「いや……ボクもそっちなんですけど、どういった場所なのかな〜って、いろいろと京都市内の『こういう所』を散策してるんですよ」

 話が間接的でまどろこしいけど、「ボクはゲイだから京都市内のハッテン場のことが気になっていて散策してるんですよ」という意味だ。

 隣に座っている男性は、ゲイ同士の経験が少ないと理解してくれたようで、そのまま話し相手になってくれた。ボクは次々と「ゲイの世界」について質問をしていた。その人は優しく質問に答えてくれた。

「で……いろいろと京都市内のハッテン場を回ってるんですよ」
「へぇ……」
「えっと……パソコンで見てるんですけど、『京都ハッテン場ガイド』ってホームページがあるんですよ。京都市内ハッテン場をまとめたサイトで、そのサイトを見て市内のハッテン場を散策してるんですよ。それで『●都●所』がハッテン場だって知ったから来たんですよ」

 ボクの言葉を聞いて、なぜか隣の男性は一瞬だけ「ビクッ」と体を震わせた。ボクは「あれっ?」と、おかしな反応に疑問を感じた。

<つづく>

LGBTシンポジウム参加レポ<12>

ーーーディスカッションの続き

→五十嵐氏

 ありがとございます。私も印象に残っていることがあります。今でこそジャケットを着て「シュッ」とした格好で皆さんの前に立っていますが、若い頃はクラブイベントの主催をやっていました。30歳から10年間くらいクラブを借りきって女性限定で「お友達を作ろう」、「出会いを作ろう」と主催およびDJをやってきました。そのイベントに遊びに来た世代の仲間たちは、一緒に年を取っていきます。私は44歳ですが、当時一緒に遊んでいた仲間たちも、今は30代後半から40代前半になっています。体力的にも夜通し遊ぶのが難しくなってきましたが、今は若い世代が引き継いでクラブイベントをやってくれています。そして、そういったイベントに遊びに来ている若い子たちがパレードに遊びに来てくれています。

 何を言いたいかというと、自分たちが安心できる場所が、かつては限定された空間だけで、「絶対にここには当事者しかいない空間」。「自分たちのことを知っている人しかいない空間」。そこでしか自分のことをオープンして飲んで楽しむことができなかったです。もちろん今でも全ての人がパレードに行っているとは申しません。ただ凄く嬉しかったのは、そういったクラブでしか見かけなかったレズビアンの仲間たちが、パレードの会場に来ていました。私はそのことを密かに嬉しいと思っていました。そういった安心できる場所は、少しづつですが増えていってると、皆さんの話を聴きながら感じていました。

 少し話を変えていきたいのですが、先ほど永田さんから他の方の話を聴いた感想をお伝えいただきました。そこで永田さんの話を聴いて、何か発見や感想があればお尋ねしたいのですが?

→石田氏

 永田さんの話で出たきた「ダイバーシティ」や「インクルージョン」という言葉が印象に残ってます。この問題に関わるようになり、LGBTについて勉強する中で「これは多様性の問題であって、社会にはいろんな人がいることを普通に受け入れてみんなで生活していく、その問題の一つに過ぎないんだな」と思っていました。そして「やっぱり多様性が大事だよ」と言ってたんですが、「多様性」、「ダンバーシティ」で止まってはダメなんだなと思いました。次からは「インクルージョが大事だよ」と言っていこうかなと思っております。今日は大変いい視点を頂いたと思います。

→松本氏

「正しい知識を理解する」って大事だなと思いました。我々の企業では「LGBTを特別視しないでいこう」としか考えてこなかったんですが、こういった場で、我々も新たなことを学べますので、これからの取り組みについて非常に参考になりました。やはり「正しく理解する」、「正しく知る」ということは、我々企業としては必要なんだなと感じました。

→五十嵐氏

 いろんな企業にLGBTに関して取り組んでいただく時に、「積極的にやろう!」「LGBTを窓口を作りました!」とか「LGBT専用コーナーです!」とか、私たちは……特に私は決して、そういったことを望んでいる訳ではないです。松本さんが「LGBTを特別視しないでいこう」とおっしゃいましたが、「当たり前にいるんだ」という意識をいかに持っていただくかということが、非常に大きなポイントかと思います。今まで見えてこなかったので、特に気にすることもなかったのに、急に注目を集めて「なんだか間違った方向にいかないんだろうか?」と不安に思うところもありました。三浦さんはいかがですか?

→三浦氏
 
 私自身はパレードをやっている関係で企業と協賛金に関する接触が、すごく多いです。企業と「課題」について話しをする時に、「障害を持っている方に対する課題」とか、「海外から来ている方に対する課題」とか、いろんな課題がある中で、LGBTについても個別の課題として捕らわれる方が多いです。そこではなくて、インクルーシブ(包括的)なところで「障害を持ってらっしゃる方々」にも、「海外から来ている方々」にも、当然にLGBTの当事者はいます。そういった話をするんですが、なかなか話が噛み合わないです。今日、永田さんの話を聴いていて、わかりやすく整理されて自分の中に入ってきたので、真似しなくてはならないと思っています。

→五十嵐氏

 少し参考データをご紹介します。学術研究者による調査なのですが、日本人の性的マイノリティに対する意識調査が行われて、2015年に発表されています。「社会にあるいは自分が住んでいる地域に、外国人が多くなること、あるいは障害を持つ方が多くなること」。これに対して「嫌だ」と思っている方は、「同性婚に対しても反対」の方が多いんですね。非常にリンクしてることが、興味深いと思っています。逆に「外国人の方々」あるいは「障害を持つ方々」が「いても当たり前だ」と思っている地域は、当然に「LGBTに対しても寛容度が高まるんじゃないか?」と感じたりもしています。特に渋谷はいろんな方が集まる街だと思います。

<つづく>

ゲイ集う成人映画館の散策記<1>

 あぁ……「千本日活」か「シネフレンズ」のどっちかに一度行ってみたいな。

 ボクはパソコンに表示された文章を読みながらそう思った。画面には「千本日活」というキーワードや「シネフレンズ」というキーワードをgoolgeで検索した結果が表示されていた。

 京都市内は地形が盆地だから冬になると底冷えする。ボクは椅子に座って、田舎のおばあちゃんが縫ってくれた半纏をまとっていた。それでも寒くて体のすぐ近くまで暖房機器をもってきても、まだ寒気がした。北海道から京都の大学に来ている学友は「北海道より京都の方が寒い」と嘆いていた。ただ寒気に震えながらも、画面に映し出された文章を読んでいると、ボクの下半身はなぜか興奮していた。

「千本日活」「シネフレンズ」

 知らない人がこの二つのキーワードを聞いて何を想像するのだろう。

 どちらのキーワードも「映画館」の名前だ。その映画館はどちらも「千本通」という京都市内を縦に走る道の近くにある。二つの映画館は近距離にあって、お互いに歩いて10分もかからないくらいの距離にあった。ボクはパソコンの画面を凝視しながら、その映画館で繰り広げられている体験談を読んでいた。その体験談には、まだ若いボクには想像もできないような未知の世界が広がっていた。

 その映画館の存在を知ったのは、このサイトでも何度か登場している「京都ハッテン場ガイド」というホームページを見たからだ。そのホームページには京都市内に存在する「ハッテン場」が紹介されていた。もうかなり前に閉鎖されてしまったホームページだけど、ボクはこのホームページに出会ってから、京都市内にある野外のハッテン場や有料ハッテン場を散策していた。ただ野外のハッテン場で誰かと関係を持つのは抵抗があった。いや……抵抗があったといういうより絶対に嫌だった。どちらかというとボクは同じゲイの話し相手を求めて散策していた。どこかで気があうゲイ仲間と出会えないかと探し求めていた。

 あぁ……やっぱりこの映画館に一度行ってみたいな。

 そう。この二つの映画館は、どちらも普通の映画館とは違っている。なにが違っているのかと言うと、それは「成人映画館」なのだ。しかもただの成人映画館ではない。

 「ホモの人が集まる成人映画館」なのだ。

 だから「京都ハッテン場ガイド」に紹介されていた。

 この話は、ボクが大学二年生の時。季節は雪が降りしきる真冬のことである。

<つづく>

LGBTシンポジウム参加レポ<11>

ーーーここからディスカッションが始まる

●コーディネーター
Rainbow Soup(レインボースープ)代表 五十嵐ゆり(下のtweet写真右端から2列目)

●パネリスト
渋谷区総務部男女平等・ダイバーシティ推進担当課長 永田 龍太郎 (写真中央)
九州レインボープライド代表 三浦暢久(あなたの のぶゑ) (写真左端)
福岡県弁護士会 LGBT小委員会 LGBT小委員長 石田光史 (写真右端)
株式会社 三好不動産 社長室 執行役員 松本茂規 (写真左端から2列目)

 

→五十嵐氏
 この後は、登壇していただいた方にディスカッションしていただきたいと思います。早速ですが、第一部の永田さんの話を聴かれた他の方の感想をお聞かせくださいますか? また永田さんからも他の方の話を聴かれた感想をお聞かせくださいますか?

→永田氏
 皆さんのお話をお伺いする中で感じましたが、どう当事者との接点を作っていくのか、また当事者が安心して利用していただけるような接点を作っていくのかは、非常に難しいです。例えば携帯電話の家族割を「同性カップルも大丈夫です」と企業が宣伝しても、じゃあ私にパートナーがいたとして近くの携帯ショップに行って、「同性カップルで家族割したいんですけど?」と言ったところで、「本当に挙動不審にならずに対応してもらえるんだろうか?」というところは、凄く距離があると思います。不動産の賃貸という非常に相談しづらい中で、現場で性的マイノリティへの対応を見える化していただいてるケースは、全国にもまだまだ稀です。こういった顧客接点で積極的な取り組みをされているのは、博多にもありますがマルイさんです。プライベートブランドの靴やスーツのサイズの幅も大きく、トランスジェンダーの方にも喜ばれていて、マルイさんは非常に力を入れています。マイノリティの問題に対してCSRとして取り組んでいらっしゃいます。実は去年の夏に三好不動産さんにヒアリングにお伺いさせていただきました。私の方からどういった取り組みをされているのか経緯や課題など聞かせてもらったのですが、それくらい現場での取り組みが見える化されているのは少ない状態です。

→五十嵐氏
 昨日の朝日新聞の中に三好不動産の社長のインタビューが掲載されていましたが、積極的に性的マイノリティの課題に取り組んでおられます。去年の福岡のパレードにブースを出展されましたが、50組くらいの相談が来て、成約実績もあるとのことだったですが、詳細を聞かせてもらえますか?

 

→松本氏
 去年パレードに参加させてもらった際に、ブースを設置させてもらえることになりました。我々は直接商品を売ることができないので、「何をしようか?」と話をした結果、相談コーナーを設けることになりました。相談窓口を設置したところ、約50人が1日で来られました。その時に、LGBTの「お部屋探しQ&A」というパンフレットを簡単に作りまして、必要とされる方にお配りしました。もともと不動産契約は分かりにくので、それを分かりやすいように少しでもお手伝いできればいいなと思って、簡単にまとめました。もう少し内容を充実させていきたいと思っています。

→五十嵐氏
 先ほど、永田さんがおっしゃった「安心感」という意味では、約50人の方がいらした背景には、パレードでのブース出展というのも大きくあるのかな?と思うのですが、実際の店舗での安心感という意味ではいかがでしょうか?

→松本氏
 最近は、SNSの発信など積極的にやらせてもらっていますが、問い合わせ件数だけで言うと、年間150件以上はあると思います。ただ成約となると20件ぐらいかと思います。安心して入っていただけるような窓口の取り組みとしては、窓口にレインボーマークをつけたり、名刺にレインボーマークをつけてみたり、レインボー色の社章のつけたりしています。こういった気楽な取り組みをやることがいいのではないかと思っています。

→五十嵐氏
 社長はいつも社章を付けてらっしゃるのですか?

→松本氏
 社長はいつも社章を付けている訳ではありませんが、担当店舗ではいつも付けています。

→五十嵐氏
 もう少し「安心感」をキーワードに話を続けていきたいのですが、先ほどのパレードのブース出展の話がありましたが、石田さんも同様に弁護士として相談窓口を設置したと説明がありましたが、相談の実績はありましたでしょうか?

→石田氏
 先程も説明しましたが、公園に設置したテントを幕で仕切っただけなので、私たちとしても無料法律相談の出展を謳いつつも、「なかなか相談はないだろうな」と思ってやっていました。こういった場所に弁護士会がブースを出していると示せることが重要かなと思っていましたが、6件くらい相談が来ました。相談内容が特殊なもので抽象化しても分かるので申し上げられないのですが、同性カップルに関する相談だとか、あるいはパートナーの方が亡くなられてどうしたらいいのか?といった相談がありました。やっぱりニーズはあるんだなと感じました。

→五十嵐氏
 そういった要望のパレードという場所を作ってらっしゃる三浦さんとしては、お話を聞いてどうでしょうか? 確かパレードは「未来の全ての子供たちのために」というテーマだったと思いますが、いろんなことに対する安心感とか、この街に住み続けたいという気持ちになって欲しいという思いはあったんでしょうか?

→三浦氏
 あります。やはりパレードをするにあたって、未来のある子供たちに対して伝えていけたらいいなと思いがありました。また当事者の子供たちも住みやすいと思ってもらえたらいいなという思いがありました。「私たちがいる」ということを知ってもらうことで、「ロールモデルがちゃんといるんだよ」。「ちゃんと生きてる人たちがいるんだよ」ということを、知ってもらいたいと思っていました。今、生活をしている当事者が沢山いるということで、彼らが安心して生活できる環境づくりも同時進行でやっていかなくてはいけないと思っています。私たちがパレードでできることは、その取り組みを実践されている方々を紹介することしかできないので、その環境づくりというのが、私たちの一つの使命かと思って活動しています。

<つづく>

LGBTシンポジウム参加レポ<10>

ーーーパネルディスカッションの続き

●福岡県弁護士会 LGBT小委員会 LGBT小委員長 石田光史氏

 そもそも「弁護士会」というものがどんなものなのか、あまり知られていないと思いますので、少し説明させて下さい。よく「医師会とどう違うのか?」と言われるのですが、医師会というのは任意団体です。お医者さんが全員入っている訳ではありません。でも弁護士会は強制加入団体です。弁護士であれば必ず弁護士会に所属しています。東京だけ例外で3つありますが、基本的には各都道府県に1つづつあります。福岡県にあるのは「福岡県弁護士会」になります。現在、大体1300人くらい福岡県弁護士会に所属している弁護士がいます。弁護士は日々いろいろな仕事をしておりまして、離婚の相談や相続の相談を受けることもあります、交通事故の相談を受けることもあります。企業から取引の紛争の相談を受けることもあります。そういった日常業務をやっております。

 そういった日常業務とは別に弁護士会としていろいろな活動を行なっております。「弁護士法」という法律がありまして、その第一条に、

 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)

 と記載されています。法律上で「正義」という言葉が出てくるのは珍しいです。「弁護士はそういうことをしないさい」と法律に書かれております。その法律に基づいて、日々の日常業務とは別に弁護士会としていろいろな活動を行なっています。福岡県弁護士会では大体60くらい委員会があって、いろんな問題に取り組んでいます。その中では、罪を犯した人の刑事弁護をどのようにやって質を高めていこうかと考えている委員会もあります。逆に犯罪被害に遭ってしまった人の支援をどうしようかと考えている委員会もあります。各委員会では、子どもの権利の問題だとか、男女差別の問題だとか、社会問題や人権問題にいろいろ取り組んでいます。私は弁護士になって18年になりますが、いろんな委員会に関わってきました。一貫してやってきたのが、消費者被害だとか子どもの権利などの委員会に所属して活動をしてきました。

 今回のシンポジウムは、LGBTなどの性的マイノリティをテーマにしていますが、それに関わるきっかけになったのが、西日本新聞の生活欄に毎週弁護士がQ&Aで対応する法律相談コーナーがあります。その担当を私がしていました。その西日本新聞の生活欄は特徴があって、多くの寄稿や連載で成り立っています。その中の一つが福岡県弁護士会に法律相談コーナーだったんですが、その生活欄に寄稿している執筆者が集まって懇親を深める機会を2014年の年末に設けていただきました。せっかくの機会なのでいろいろな人と話をしたいと思って、一週間分の新聞をめくってどういう方がどういう内容を書いているのかチェックしていきました。その中で、先ほど登壇された、五十嵐ゆりさんが当時は「小嵒ローマ」というペンネームで「虹色のあした」という連載をされていました。この方と是非お話をしたいと思って、西日本新聞の方の仲介で、その懇親会に行ってお話をすることができました。

 先ほど、弁護士会でいろいろな取り組みをしていると説明をしましたが、ふと思ってみるとLGBTに関する問題について、弁護士会で取り組んでいる委員会がないことに気づきました。男女差別や男女共同参画に関する取り組みはありますが、いわゆる性的マイノリティという問題の取り組みついては、東京や大阪では先進的にやっていたのですが、福岡県では聞いたことがありませんでした。これはいけないと思いまして、有志の弁護士に声をかけて当事者団体の方と勉強会をしたり、東京から弁護士を読んで勉強会に参加してもらったり、そういった活動を始めていきました。

 そういう活動をする中で思ったのが、当たり前のことなんですが、LGBTの当事者は、普通に社会の中で生きてる方々なので、刑事弁護の刑事被告人の中にも性的マイノリティの方はいるし、被害にあった方にも性的マイノリティの方はいます。我々が取り組んできた問題の中に、今までは見えなかった、あるいは見る気がなかっただけで、必ずその問題が含まれてるんだということに気がつきまして、一緒に取り組んでくれる弁護士の仲間を少しづつ集めまして、2015年の8月に正式に弁護士会内で「 LGBT小委員会」をいう組織を作ってもらいました。これによって弁護士会としてきちんと位置付けてもらい取り組みをしていけるようになりました。

 どんなことをやっているのかというと、あたり前で恥ずかしい話ですが、とても重要だと思っているのが「( 弁護士)会内研修」です。「弁護士がLGBTの問題に取り組みます」と外に向かって偉そうに言うのは簡単ですが、我々1300人いる弁護士が、皆んなこの問題に詳しくて理解があるのかと言うと残念ながら、そんなことはない状態です。「こういう問題があるんですよ」「あなたの依頼者にもいるんですよ」ということを、まずは分かってもらって理解を深めてもらわなくてはいけませんので、会内研修に力を入れております。対外的にはシンポジウムをやっています。去年の10月に制服の問題についてシンポジウムを行いました。200人の会場が学校関係者や父兄の方などが来て、ほぼ満杯の状態でした。先ほど登壇された三浦さんが説明された、レインボープライドにも去年と一昨年にブースを出しまして無料法律相談をやりました。場所柄の問題もあって店舗に幕を張っただけなので、深刻な相談は難しいと思いますが、気軽に問題になっていること相談できるようなブースを出しました。

 それから電話相談については、去年の9月から月に1回だけですが弁護士会の方で無料電話相談を始めました。それと合わせて福岡市の方とパートナーシップ制度の策定のお手伝いをしてきました。そして手元に配布していますが、今年の4月から福岡市と共催で無料電話相談をさせていただくことになりました。

 

 今後は相談体制の充実をテーマに、我々の方がもっと力をつけていかなくてはいけないと思っています。もう少し広い範囲で対話ができるような弁護士会内での人員拡充が必要ですが、単に人を増やすだけでなく、例えばLGBTの方にとっては災害時における問題が多数あって、それは平時に準備をしておかないと対応が難しいので、弁護士会には災害問題に取り組む委員会があるので、そこから人を呼んだりして対応できる分野を広げていきたいと思っています。

 一点、頼もしいと思っていることがあります。新しく入ってくる弁護士は最初からLGBTの問題を知ってるんですね。去年入ってきた弁護士は、学生の頃から、性的マイノリティの支援に取り組んできたと言っています。1月から弁護士になった人には、「知人に性的マイノリティの人がいるので、弁護士になったらこの問題をしたいと思っていました」と言って仲間に加わってくれました。彼らを頼もしく思っていて、次の世代は彼らが担っていくことになるんだろうなと思っています。ただ、まだまだ我々もやるべきことがありますので頑張ってやっていきたいと思います。

<つづく>

LGBTシンポジウム参加レポ<9>

ーーーパネルディスカッションの続き

●株式会社 三好不動産 社長室 執行役員 松本茂規氏


 三好不動産の「LGBTの部屋探し」の取り組みついてお話したいと思います。

    弊社は1951年に設立した会社で、今年で67歳です。従業員が396名となっていますが、グループ会社全体では約700名います。弊社は不動産の賃貸管理会社としてスタートしましたので、管理戸数が会社の規模を表す数字となります。それが3万2千123戸になります。福岡市の民間の貸家戸数が、37万4千695戸なので、大体8パーセントから9パーセントのシェアというところです。

 主な事業内容は大きく分けると4つになります。1つはお部屋探しで、貸したい、借りたいというお客様に対して仲介を行う「賃貸仲介」。それと先ほど申し上げた「賃貸管理」で、大家さんに代わって家賃を集めたり入居後のお困りごとの対応をしたり、退去の後に次の入居者が入るまでの、現状回復工事をクロスを張り替えたりなどの工事の手配。そういったことを一元としてやらせていただくことが「賃貸管理」なります。それともう一つは賃貸仲介の売り買いの間に入ってお世話する「売買仲介」。それと最近は相続の相談について「資産管理」として事業に取り組んでいます。グループ全体で700名いると申し上げましたが、グループ会社が17社あります。後ほど説明しますが、「ニッポンインシュア」という会社が「家賃保証」の会社で、LGBTの方の部屋探しの取り組みには一つのキーになっています。

 まずは我々がLGBTに関して取り組む背景ですが、我々の企業姿勢として「快適な住環境の提供」という基本姿勢があります。もちろん企業ですからビジネスとして成り立たないといけないのですが、お陰様である程度の規模で仕事をやらせてもらっていますので、いろんな取り組みを我々が率先してやろうと、その中の軸として「快適な住環境の提供」というのを誠実にやっていこうということで、先ほど登壇された三浦さんから話を聞いて、是非我々がやっていこうという話になりました。

 LGBTの方の不動産賃貸の契約の難しさを流れで説明します。

 まず1DKなどの1ルームは2人入居は難しいです。よく同性カップルは1DKなどの1ルームで生活していますが、ほぼ内緒で住んでるんですね。基本的に1ルームは2人入居は審査に通らないんですよ。これはいろいろな事情があるのですが、一つの部屋を2人が住むことによって、設備の劣化が激しいとか、もともと一人暮らし用で作られた部屋なので、そもそもの2人入居が難しいなどの様々な事情があります。同性カップルの場合は、関係を打ち明けられない。打ち明けたくないのに、審査でいろんなことを話さなければなりません。そもそも審査では2人の関係など赤裸々に話さなければならないので、話す側も非常に困難で、我々受け入れる側も理解していないといけない状況でした。そう言っても男女カップルや女性同士だったら意外とOKだったりするんですよね。なぜ男性同士ではダメなのか?それともう一つは隠した事実が発覚した際に保険適用の問題があります。家族プランや単身プランという形で保険をかけているのに、事故の原因が同居している人が原因の場合、保険が単身プランだったら、すんなり保険適用がうまく行かなかったりします。こういった事情があって、不動産賃貸契約そのものが難しいと思われています。

 賃貸契約の流れの中で同性カップルにとって難しい点がいくつかあります。まず賃貸を契約する際、雑誌などを見て「この部屋に住みたい」という問い合わせがあります。いざ来店の時に、もともと不動産会社って店舗に入りにくいと思いませんか? 不動産屋というとダーティーなイメージが多いせいもありますが、同性カップルの方は店舗に入りにくいです。物件選定をするときに二人入居可能な物件が意外と少ないです。特に男性同士です。あと同性カップルの場合、連帯保証人を頼めないと背景があるようです。いざ入居する時にも、我々は身分証の提示を求めますし、最近でこそ取り組みを初めていますが、性別を書くのに抵抗があるとか、あと家賃保証会社と連帯保証人の2つがいる場合があるのですが、連帯保証が必要な時もなかなか頼める人がいない。入居審査の時にも二人の関係を根掘り葉掘り訊かれたりする。「正直に言うと断れるんじゃないだろうか?」そんな心理が働くようです。

 それで我々が取り組んだことは、まず社員研修をして正しい知識を身につけることを始めようとしました。そして安心して相談できるようにLGBTに対応できる店舗を1つ設置しました。たまたま社員がやりますと手を上げてくれた後押しもありますが、その店舗で受け付けできる体制づくりを始めました。取り組みとしては店舗にレインボーマークを貼ったり、「是非LGBTの方はこの店舗にお越しください」とSNSで発信してきました。それから就業規則の追加をしました。これは社員研修の正しい知識を身につけることにもつながりますが、セクハラやパワハラを禁止する就業規則があったのですが、LGBTに関する規則がないので、そのあたりも禁止事項に入れています。昇格昇給についても、それを理由に拒むことはないと明確にしました。福利厚生面では配偶者手当がありますが、パートナーシップ制度ができれば、配偶者手当に準ずるものも作っていけたらいいなと思っています。

 それから我々は管理会社です。二人入居可能な物件は、他の不動産会社よりも断然、紹介しやすいと思います。普段からオーナーと話す機会も多いので、オーナーに対する理解も他の会社よりも求めやすいんじゃないかなと思います。それから家賃保証会社との連携ですが、グループ会社に家賃保証会社があることで、LGBTの説明がスムーズなんですね。家賃保証会社も同じようにLGBTに関する社員研修を受けていますし、当社の取り組みはグループ全体で理解してもらっていますので、家賃保証会社がスムーズにいくと、ほぼ入居は可能となります。そういったことを取り組んでまいりました。

 今後に向けては、一民企業がやれることは限界があります。引き続き社員研修は継続していきますし、現在は博多駅前店の1店だけでLGBTの対応をしていますが、これをいずれは全店舗でもスムーズに対応ができるような体制づくりをしていきたいと思います。例えば相談しやすいカウンターを作るなど、さらに店舗に来られなくても現地で直接待ち合わせをして不動産の相談がしやすいようなスキームをこれから作っていきたいと思っています。それと不動産会社なので賃貸の売買以外にも、相続や保険など、いろんなことに取り組んでいますので、賃貸以外においても相談可能な体制づくりを、これから作っていきたいと思っています。

ーーーここまでのボクの感想を書く

 もはや……議事録のような章になっていますが、今後もしばらく続きます。もともとLGBTのシンポジウムがどんな流れで進められて、どんな内容の話をしているのかを、ボクのサイトを読んでくださっている皆さんに紹介する目的で文章を書いています。文章を書いていて、「これは……どうなんだろう」と気になる発言も多々あるのですが、シンポジウムの内容を、そのまま聞き取れた範囲で書いていきます。

<つづく>

LGBTシンポジウム参加レポ<8>

ーーーシンポジウム後半のパネルディスカッションに続く

パネルディスカションコーディネーター役
●Rainbow Soup(レインボースープ)代表 五十嵐ゆり

 私はNPO法人「Rainbow Soup(レインボースープ)」という団体の代表を務めております。特に我々はLGBTやSOGIに関する啓発活動を行っております。福岡を拠点に活動している、まだ4年目に入った若い団体です。

 

 私はレズビアン当事者であることを公にして活動をしております。もしかして活動当初から「Rainbow Soup」を、ご存知の方は「小嵒ローマ(こいわろーま)」という名前を聞いたことがあるかもしれません。私のニックネームです。

 2014年だったと思いますけど、西日本新聞で連載をさせていただく機会をいただきました。その時はまだ本名で世に出るのは怖く、どこで暴露されるのか分からないとういう状況でした。当時フリーライターをやっていましたので、レズビアン当事者であることを名乗ると仕事が無くなるかもしれないなと本気で心配しておりました。とはいえ変わらぬ社会を変えていく活動に関わっていきたいという気持ちが、どんどん強くなっていきまして、顔は出して自分の体験談を話すけど、本名だけはどうしても名乗れずに、「小嵒ローマ」というニックネームでやるしかなかった状況が、わずか数年前でした。

 今は本名の「五十嵐ゆり」で活動しておりますが、そのような状況の中で、わずか数年前のことを思いますと、今こういう形で福岡市主催でシンポジウムをやっていただく状況になってきたということは、この変化の速さ、関心の度合いを嬉しく思っている次第です。

 今日は司会進行役ですので、この後はパネリストの皆さんにそれぞれ話をしていただきたいと思っております。それぞれの分野で大変積極的に性的マイノリティの支援に取り組んでおられます。

 まずはパネリストの皆さんから、それぞれの取り組みについてご紹介いただいた後に、皆さんに壇上に集まっていただいてディスカッションに入るという流れで進めていきたいと思います。まずは九州レインボープライド代表の三浦暢久(みうらのぶひさ)さん、もしかしたら「あなたの のぶゑ」という名前をご存知の方が多かろうと思いますが、三浦さんにプレゼンをお願いしたいと思います。

●九州レインボープライド代表 三浦暢久(あなたの のぶゑ)

 ご紹介いただきました。三浦暢久(みうらのぶひさ)でございます。普段は「あなたの のぶゑ」というふざけた名前で活動をしておりますので、こちらの名前の方を聞いたことがあるかもしれません。私自身は10年前から「のぶゑ」という名前で活動しておりまして、「のぶゑ」という名前でタレントのような活動をしている時期がありました。そのままの流れで名前を使っている状態なんですが、最近では本名も使うようになりました。

 我々の団体のご紹介をさせていただければと思っているのですが、「九州レインボープライド」はまだ新しい団体であります。


   福岡におけるパレードの走りとなったのが「クィアレインボーパレード福岡」で、2007年と2008年に「博多どんたく」のステージを借りて、パレードをしたのが最初のきっかけとなっております。この時は私とは違う方が主催として活動しておりました。少し時期が空きまして、2014年に「福岡でもレンボーパレードするったい」という名前で、学生有志が集まってパレードを単独開催を行ったのが2014年のことでございます。学生有志だと続けていくのが困難なこともありまして、これを私たちが引き継ぎまして、2015年から「九州レインボープライド」という名前に変えさせていただいて活動が始まっております。立ち上がって活動を始めて、まだ3年目の若い団体でございますし、当初は実行委員会という形で始めさせていただきましたので、イベントをするだけの団体でございました。ありがたいことに今ではやらせていただいている活動が増えまして、イベントプロジェクト実行委員会という形で、「九州レインボープライド」をはじめとするイベント開催をお手伝いしたり、主催をさせていただいたりしております。またその中で地域や学校などで講演をさせていただいたり、研修をやらせていただいたりしております。またブライダルプロジェクトということで、LGBT当事者に向けたウェディングのサポートをさせております。またLGBTを受け入れていただける企業様に向けて研修やセミナーなどをさせていただいて、体制を作っていただくような活動を行っております。これはビジネス化プロジェクト実行委員会という形になっておりますが、この後に登壇します「三好不動産」とも連携させていただいていますが、全国にLGBTの方で住まいについて困っている方が沢山いますので、それをきちんとした形で伝えていくための活動を、この委員会で活動しております。

 とても活動が幅広くなっておりまして、いろいろな分野でご要望も増えておりまして、これから大きく社会が変わっていくのではないかと思っております。

 今年、皆さんにお渡しした資料の中にチラシが入っているかと思いますが、今年も福岡でパレードの方をさせていただきます。11月4日になりますが皆さんも参加していただければ嬉しいなと思います。

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 本日昨年のパレードの映像をお持ちしております。パレードの雰囲気が分かっていただけるのではないかなと思っており観ていただければ嬉しいなと思います。

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※動画クリックするといきなり音楽流れます(音量注意!)

 

 昨年17年度のパレードは、約7000名の方に会場まで来ていただきました。LGBTの当事者だけでなく、アライのような方達だったり、応援していただける方達だったり、企業も含めまして、この参加人数となりました。また福岡市にも大変に応援していただいておいります。昨年は嘉麻市の方からも応援をしていただきました。少しづつ市の方からの応援もいただけるようになっております。とても大きな活動になってきておりまして、九州全土から当事者が集まってきたり、支援団体が集まってきて、大きなイベントになってきております。昨年は子供たちも沢山増えてきておりまして、大体100名前後の子供達が親子連れで来て楽しんでいたという状況もありました。他の地域のパレードと雰囲気が違うのは、そういった部分だと思います。私が目指しているのが、地域にしっかりと密着したことができたらいいなと思っているので、いろんな年代の方々に集まっていただけるイベントになったらいいなと思って活動しております。毎年ボランティアの方々も100名前後も集まっていただいて楽しくやらせてもらっています。是非、皆さんも遊びに来ていただけたらと思っております。

<つづく>