ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

深夜のカミングアウト<3>

 ボクは同じ部署に配属されていた同期の村上君と一緒に新人教育にあたることになった。これは新人にとっては飴と鞭のようなものだ。

「神原さんと村上さんって対照的ですよね。でも対照的なせいか仲がいいですよね」

 ある日新人からそんなことを言われた。

 真面目で型にはまらないと気が済まないタイプの村上君。楽観的で適当に済ましても気にならないタイプのボク。仕事の始まりは村上君が手をつけてきっちりと進めていくけど、型にはめようとして融通がきかなくて破綻して、それを最終的に最後まで持っていけるように調整するのがボクの役目だった。ちなみにボクがホモ扱いされていじられていることに、村上君は全くといっていいほど関心がなくて、一言も触れてきたことがなかった。彼の中では「ボクがホモだろうが、どうでもいい」ということなのだろう。

 ボクと村上君は相性が良くて、気がつくと仕事が終わった後も、休みの日でも頻繁に携帯メールをやりとりするようになっていた。仕事の話。仕事上の愚痴の話。プライベートの話など。メールの回数も半端ではなくなり送信済みメールと受信済みメールが彼の名前で埋まってしまった。彼とのやりとりだけで、携帯の容量が一杯になるくらいだった。他の人とのメールのやり取りを消して容量に空きスペースを作っても、すぐに彼とのメールのやりとりで容量が一杯になっていると通知が出るほどだった。これだけのメールを男同士でやりとりするのはちょっと異常な気がする。それにメールの一件一件の文量もかなり多かった。

 大学時代でも、仲のいい同性の友達はいたけど、ここまで濃密に関係を持つことはなかった。この頃から、ボクは彼に対してある感情を抱き始めていたのかもしれない。その感情が何かを認識するのに、そんなに時間はかからなかった。

<つづく>

銭湯で起こったあることについて

  先日、以下の記事を読んだ。 銭湯について思うことを書きたい。

 

 まず断っておくけど、ボクはゲイだけど銭湯で変なことをしようとは思わない。そもそも男性を好きになるけど、あまり男性の裸は見たくないし、恋愛感情を抱いてもない相手の裸を見ても何の感情も湧かないからだ。

 

 大学生時代、ひょんなことから銭湯をハッテン場として利用している人がいることを知った。ボクが同性愛者の世界に入っていくきっかけになったのも銭湯だった。それは以下の記事に書いてある。 

 

 社会人になってからも一人、もしくは帰省した時に家族と一緒に銭湯に行くことはあるけど、浴場の入り口付近に「体を触るなど迷惑行為を行ったら通報します」といった注意書きがされているのをよく見かける。ボクはその注意書きに気がつくけど、ゲイでない人にとっては、その注意書きは何の関心もないみたいで、目にも止まることなく素通りしている。まるでボク自身にも注意書きが向けられているようで胸が苦しくなる。まれに銭湯の前にパトカーが止まっているのを見かけることがある。「誰か間違ってノンケに手を出して通報されたんだろうな」とか思う時がある。なんだか銭湯に行くと何もしていない自分もいづらくなってしまって、なるべく銭湯にはいかないようにしている。

 もう十年以上前のことだ。

 ボクはある銭湯に行った。その時、父親と一緒に高校生くらいの知的障害者の子が銭湯に来ていた。父親はサウナに入ったりしていて息子を好き勝手にさせていた。

 ボクが露天風呂に出た時だった。

 露天風呂には、知的障害者の子と七十歳過ぎたお爺さんがいた。そしてボクが露天風呂に顔を覗かせた瞬間に、お爺さんが逃げるように走り去っていった。

 ボクは一瞬だけ何かが見えたような気がした。

 それは……浴槽の中でお爺さんが知的障害者の子の後ろに立って両手でその子の肩を持って……その子は痛そうな顔をしていて……本当に一瞬のことだったから、ボクの見間違いかもしれない。ボクはその知的障害者の子に話かけようかと思ったけど、露天風呂からフラフラと出ていってしまった。

 本当に一瞬の出来事だったので、そもそもボクの見間違いかもしれない。通報したところで相手は否定するだろう。そして被害者の子も何が起こったのか分かっておらず説明もできないため訴えることはできないだろう。ボクは何もできなかった。あまりの一瞬の出来事だったので、そのお爺さんの顔も覚えていなかった。あれはボクの勘違い?見間違え?だったんだろうか……とにかくボクには何もできなかった。その出来事から、なるべく銭湯には行かないようになった。

ノンケに生まれ変わりたい<10>

「本当に知らないの?」

 ボクは嘘をついたけど、片原さんの目は疑いの色が入っていた。ボクは表情に出ないように心がけて嘘を続けた。

「いや〜本当に杉本なんて人は知らないよ」
「そうなんだ?」
「その杉本って人はどんな感じの人なの?」
「髪は短めで、少し太っててるよ」

 ボクは内心焦っていた。間違いなく同級生の杉本君だ。もし片原さんが、次にバイト先で杉本君と出会った時に、ボクのことについて知っているか質問したら大変なことになる。

「その杉本って人と仲がいいの?」

 ボクは恐る恐る探りを入れていた。

「いや。そうでもないよ。大学も違うし滅多に会わないよ。少し話した感じだけど、あまり性格が合わないと思ったよ」

 内心ではホッとしつつも、まだ油断ができなかった。

「う〜ん。ボクって高校時代とか、休みまくってて、ほとんど出席してないから、同級生は仲がいい数人くらいしか知らないんだよね。もしかしたら杉本って人がいたかもしれないけど覚えてないな」

 これは布石だ。もし後で杉本君と知り合いとバレても言い訳ができるように用意周到に先手を打っていた。

「まぁね。○○県から京都に来てる大学生なんて沢山いるよね。知り合いの訳がないよね」
「そうそう。まぁ……もしかしたら知り合いかもしれないけど、どちらにせよ杉本って同級生がいた記憶はないね」

 ボクの嘘を信じてくれたのか、片原さんの目から疑いの色が消えていた。それで杉本君についての話は終わったけど、ボクはずっと頭の中で気にかかっていた。実家から京都まで逃げて来ても、まだ追ってくる人がいるのか。ボクはゲイだとカミングアウトしていた時代を封印して大学時代を過ごしていた。大学の同級生は誰もボクがゲイだということを知らないし、やっと手に入れた普通の暮らしだった。その普通の暮らしが脅かされていた。

 なんで……あいつ京都に来てんだよ。

 ボクは杉本君の顔を思い浮かべながら、心の中で悪態をついた。

<つづく>

ノンケに生まれ変わりたい<9>

 ある日、ボクは片原さんといつものように大学近くのファミリーレストランで深夜遅くまで雑談をして過ごしていた。客の大半は同じ大学の生徒ばかりだった。いつも通りにボーイズラブトークなど、とりとめのない話ばかりしていた時だった。

「ねぇ……そういえば神原君って杉本って人を知っている?」

 急に片原さんが質問してきた。

「杉本……知らないけど? うちのゼミにはいないと思うよ」

 同じ大学の知り合いの仲間の中に、そんな名字の名前の人はいなかった。

「大学じゃなくて地元の人なんだけど?」
「地元の人? ○○県の人ってこと?」
「そう。○○県の人だよ」
「その人がどうしたの?」
「神原君と同じ年で、同じ出身地だから知り合いかと思ってね」
「杉本の名前は何て言うの?」

 ボクは嫌な予感がしていた。恐る恐る片原さんに訊いてみた。

「確かね……杉本清(仮名)だったと思うよ」

 その名前を聞いた時に、瞬間的に顔が思い浮かんだ。その杉本って生徒は中学から高校まで同じ学校で、それに何度か同じクラスにもなったことのある生徒だった。ボクは焦っていたけど、顔に出さないように注意して話を続けた。

「その杉本って人がどうしたの?」
「バイト先が同じで時々顔を合わすの。私たちとは違う大学なんだけど、神原君と出身地が同じだから、もしかしたら知り合いかなって思ってね」

 確かに知り合いだった……しかもボクがゲイであることもよく知っている生徒だった。ボクの出身地から京都の大学に来ている生徒なんて山ほどいるだろうに、ボクの友達である片原さんと、同じバイト先で働いているなんて、なんという偶然だろう。

「さぁ……杉本なんて知り合いはいないよ」

 ボクは嘘をついた。

<つづく>

プールの監視員にドキドキしてます<さらに続き>

前職のノンケ友人(村上)との会話でカミングアウト済み関係です

神原:痛てててっ……肩が痛い。監視員の彼にときめいてしまって、また泳ぎ過ぎたよ Σ(>д<)

 

 

村上:その話ってまだ続くのかよ(;´∀`)

神原:駐輪場からガラス越しにプール内部が見えるんだけど、外から監視員の中に彼の姿を見つけただけでドキドキしてしまうよ。一刻も早く受付して着替えてプールに入りたいという衝動が抑えられなくて困ります (*/ω\*)

村上:そんなに興味がないけど、何か進展はあったの?

神原:ちょっと微笑ましい出来事があったんだ。子供や高齢者のために、深いコースに降りるための階段があるんだけど、その階段を彼がプールサイドに持ち上げようとしてたんだ。じっと観察していると重くて持ち上がらないみたいで悪戦苦闘してたんだ。見てるとプールに落ちそうで危なかったよ。それで困ってるところに、もう一人の女性の監視員が来て持ち上げたら簡単に上がって、彼がテヘペロって感じで頭を下げてて可愛かった (*´∀`*)キュン!

村上:女性より力がないって、どんなひ弱な人なんだよ。

神原:まぁ……背も低くて痩せてるし、女性の監視委員の方が、明らかに体格がよかったからね。結局、階段を持ち上げて運ぶのは女性に一人でやらせて、その女性の後ろをトボトボ軽いポールを持って一緒に歩いてたよ。背が低くて細い人って、ゲイ受けはよくないけどボクは好きだからヾ(*´∀`*)ノ

村上:女性一人に重たいものを持たせるんかい! それにしても、ずっと監視してる君も怖いな ( ;゚Д゚)

神原:最近は目を合わせ過ぎてしまって、しかも目が合ってもボクが逸らさないから、「何かあったんですか?」ってきょとんとした目をしてるときがある。彼の頭の上に「?マーク」が浮かんで見える時がある (*´∀`*)

村上:あまりやりすぎると、通報しますたになるよ(;^ω^)

神原:休憩してる時も、泳いでる時も、目の端の方で彼の動きは全てチェックしてるからね。彼の動きの癖とかも分かってきたよヽ(*`∀´*)ノ

村上:君は監視員を監視してるんだね。怖い怖い……(((((((( ;゚Д゚)))))))

神原:プールの監視員の業務に詳しくなり過ぎて、職場で熱く監視員のことについて語ってたら、「神原さんって……なんで監視員にそんなに興味があるんですか?」って訊かれたよ。まさか「いや〜可愛い男性がいてね」とか、死んでも言えないから困ったよ (´・ω・`)

村上:当然の反応でしょ。そりゃ普通の人は監視員の仕事なんて興味がないだろうよ。

神原:挨拶はするけど、別に彼と長く話したこともないから恋愛感情とか抱いてはないんだけどね。そういえば年配のプール利用者から話かけられても、他の監視員は卒なく笑って適当に会話をしているのに、彼は戸惑いながら受け答えしてるし人付き合いが苦手で不器用そうなところも可愛いね (つ*´∀`)つ

村上:君の可愛いって思うツボがわからない。以前、プールで泳いでる時は、余計なことを考えないからいいとか言ってたけど、余計なことばかり考え過ぎだろ。煩悩の塊じゃないか……

神原:煩悩の塊とは心外ですな。そこまで変なこと考えてないと思うけど、そりゃわざと溺れて、彼に救助されて人口マッサージされてマウストゥマウスで蘇生してくれたらとか健全な妄想はしてるけど (っ´∀`c)

村上:アホすぎる。やっぱり煩悩の塊だね…… (`Д´)

ゲイ仲間に共感してくれる人はいないかな?

前職のノンケ友人(村上)との会話でカミングアウト済み関係です

村上:ここ四日間ほど不思議な文章を書いてたけど、この記事はいったい何なの (・・?)

神原:あぁ……これね。突発的に書いてみたくなったんだ ヾ(*´∀`*)ノ

村上:どういった意図があって、こんな訳のわからない文章を書いたの?

神原:実際に有料ハッテン場に行って書いてみたんだけど、「有料ハッテン場」という言葉を最後まで使わないで文章を書いてみました。店内で寝転がったまま、誰もいないタイミングでスマホを出して文字入力したんだ。

村上:ゲイではない俺には想像できないような世界だな……(;^ω^)

神原:寝転がって地面に耳をつけて周囲の気配を探ってる姿とか、「おまえは忍者かよ」って言いたくなるよね。でもボクは歩き回るのがメンドくさくて、よく寝っ転がってるんだ。どんどん客が入って来て、母数が増えるのなら歩きまわるのもいいかもしれないけど、そんなに一気に客は増えないからね。店内を歩いてすれ違って一回でも顔を見たら、好みの相手がいるかは判断がつくからね。

村上:それにしても足音を聞くだけで色々と想像してるんだね。

神原:足音やドアを開く時に立てる物音って重要だなって思うんだ。その人の所作って性格的なものも割と表してることが多いからね。ドスドスって大きい足音を立てて、ドアを乱暴に開けて回る人は、どんなに好みの顔をしてても無理かな。自分も気おつけないとって思うよ(っ´∀`c)

村上:いちいち注文が多いな。それにしても暗闇の中で、あの文章を書いたんだ……(;´∀`)

神原:ボクと同じように店に行ったことがある人なら、きっと同じような経験をしたことがあると思ったんだけど、どうだろう? ボクは店に行く度に、毎回同じようなことを考えてるし、どこかに共感してくれる人がいるんじゃないかな?って思って書いてみたんだけどね。でも知り合いのゲイに、少し話をしてみたんだけど、全く共感しくれなくて、やっぱりボクって変人なのかなって改めて思いました  (>ヘ<)

いつも見ている風景<4>

 相手は寝転がって目をつぶっているけど起きているのは分かっていた。ボクはカーテンをそっと閉じて再び寝転がった。

 ボクの好みのタイプだ。

 年齢は同じ年くらいに見えた。ボクと目が合って、それから戻って来て隣の部屋で寝てるってことは、彼の方も少しはボクに気があることを表していた。ボクは寝返りを打つ振りをしながら、そっと右手を毛布から出して自分の布団の右端ギリギリまで伸ばした。すぐ横にはレースのカーテンがあって、その先には隣室の布団がある。ボクは相手の反応を待った。しばらくすると彼の方も寝返りを打った。ボクは少し目を開けて彼の方を見た。彼の左腕が毛布から投げ出されて、ボクの方に向けられていた。ボクは相手の左腕が動くの待った。そしてボクの右腕をほんの数ミリ単位で動かしながら彼の方に近づけた。ボクは自分の腕がカーテンに触れたところで動きを止めた。そして目をつぶっていた。

 二分くらい時間が経過した。

 ボクの小指に微かに何かが触れた感触がした。触れたのは彼の指だった。ボクは微かに指を動かして、相手に触れ返してみた。すると彼の方も指を動かして、再びボクの指に触れてきた。ボクは小指を相手の指に絡めて触り返した。すると彼の方でも同じようにボクの指に絡めてきた。お互いの指を絡めたまま動かないでじっとしていた。そして暫くしてからボクらは他の指も絡めてお互いの手を強く握り合っていた。

 ボクはこの瞬間が大好きだ。

 相手とキスしたり抱きついたりするよりも手を繋いでいる瞬間が一番心が安らぐ。話したこともない相手なのに、ずっとこのまま彼と手を繋いで繋がっていれたらいいのに、いつもそう思ってしまう。でも彼は自分の布団の方に、ボクを手を引き寄せて来た。ボクは相手の誘いに答えてカーテンを乗り越えて自分の体を移動する。

 一時間も経てば彼と別れて、ボクはまた一人でさっきと同じように寝転がって天井を見つめている。ずっと同じことの繰り返しだ。
 
<終わり>

※この文章は実際に「ある場所」で寝転がって、その場で思ったことや起こったことをスマホで書いてみました。