ゲイとして生きる場所を作ること<2>

 先月に書いた以下の記事の続きを書きます。 

 

 ボクは生きて行く場所を自分独りで作っていなかなくてはならない。それには別に同性愛者に限定する必要はなくて、ボクの住んでいる地域の人たちと関係を築いていかなくてはならないけれど、それがなかなか難しいと感じている。

 東京のような人口の多い場所では状況が違うとは思うけど、ボクの住んでいる福岡県の福岡市から外れた街になると、結婚していない人はかなり稀な存在だ。職場の同僚もほぼ全員が結婚して子供を持って、子供を媒介にして地域の自治会だったり、同年輩の子供を持っている親同士の付き合いを持っている人が多い。さらにボクは賃貸アパートに住んでいるので、なおさら地域の人たちとの関係が持ちにくい。かといって一戸建てを立てる決心も持てない。

 職場の同僚と会話している時だった。

「今日は定時に帰宅しないといけなくて、近所の子供の同級生の家族が集まって鍋パーティーをやるんですよ。正直……全く行きたくないんですよね」

「それは大変だね……でも子供同士で遊んでたら、親はめんどうを見なくて楽でいいよね」

「そうなんですけど、母親同士と子供同士は仲良く話してるんですけど、父親同士とか話すことなんてないから、ただ食事して飲んでるだけなんですけどね。どうせある程度の年齢になったら付き合いなんてしなくなると思いますけど」

 そう愚痴を言って帰宅して行く同僚の背中を、少し羨ましく見つめている自分がいることに気がついた。ボクにはもちろん子供もいなくて、そんな関係を持つことができない。人口の多い福岡市内まで出て行けば、趣味に生きている独身もいていいのかもしれないけれど、そうそう頻繁に出て行くことはできない。

 ボクも試行錯誤を繰り返しながら、地元の人たちと関係を持とうとして、行事に参加したりしているけど、やっぱりうまくいかなくて、そもそも付き合いの前提が子供ありきになっている。

 そもそもどんな人間関係を築いていきたいのかも、まだはっきりと分かっていない。余計なことを考えずに。思い切って前に進んでいけばいいのかもしれないけど、まだ決心が持てないでいる。
 
<つづく>