ボクの目の前では裸の男性同士が激しくセックスをしていた。
これは凄いや……
ボクは唾を飲み込んで興奮しながら二人の様子を見ていた。生まれて初めて男同士でセックスをしている姿を見てしまった。今まで自分の頭の中の妄想だけでしかなかった世界が目の前に広がっていた。恥ずかしいけれど、ずっと心の底で望んでいたものだった。
ボクは嬉しさのあまりに、パソコンの画面を食い入るような見つめていた。
パソコン? そう……ボクは自分の部屋で椅子に座って、パソコンの画面に映った男性同士がセックスしている動画を見ている。
なるほど……男性同士ってこうやってセックスするのか……
情けない話だけど、ボクは大学生になっても、どうやって男性同士がセックスするかの知識すら持っていなかった。田舎に育ったので仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。そもそも女性に興味がないボクは普通の男性が買っている、男性と女性がセックスしているアダルトビデオというものを過去に一回しか見たことがなかった。その一回も、たまたま見る機会があっただけだ。
なんて便利な世の中になったんだろう……
ボクはゲイ向けの出会い系の掲示板に行き着いた。そこからゲイ向けの動画サイトに行き着くのに、そんなに時間はかからなかった。出会い系の掲示板サイトには、ゲイ向けのアダルト動画サイトへのリンクが貼られていることが多く、自然と動画サイトに流れ着いてしまう。大学に入学した当時は、テレホーダイの回線を利用していて、インターネットの速度も遅くて動画を見ようなんてこれっぽっちも思わなかった。数分の動画を見るのに、何十分もどころか数時間もかかるからだ。ADSLが始まったおかげで、ボクのゲイ世界への知識の獲得は急速に進んでいた。
ボクは嬉しさのあまりパソコンの前に座っておらず、意味もなく部屋の中を歩き回っていた。ずっと望んでいたものが手に入った瞬間だったからだ。普通の男性なら中学時代や高校時代に性の目覚めともに、エロ本やアダルトビデオを手に入れ、狭い自分の部屋の中で、机の引き出しや、押入れの奥や、ベッドの下に隠すなどした経験があるだろう。でもボクは全くそういった経験をしたことがなかった。
今から話すのは、ボクが大学生時代にアダルト動画にたどり着くまでのとても恥ずかしい話だ。
<つづき>