第16章 同性愛者の性長記録

同性愛者の性長記録<9−5>

なんで三島由紀夫の小説を置いている位置が変わってるんだろう…… 制服を脱いで私服に着替えてから居間に移動すると兄貴が寝転がって小説を読んでいた。 その兄貴が手に持っている小説を見て、すぐに状況が理解できた。その小説はボクの本棚にあるはずのもの…

同性愛者の性長記録<9−4>

夜になって自室に籠ってから、ボクはカバンの中から『仮面の告白』を出してベッドに寝転がって読み始めた。 合計で約200ページあったけど、半分まで一気に読み進めた。 糞尿汲み取り人の股引きに惹かれた……? ジャンヌダルクの絵を見てを「男」だと思ってた…

同性愛者の性長記録<9−3>

学校の帰り道に本屋に入って三島由紀夫の小説を置いている棚の前に立った。 やっぱり三島由紀夫の小説はオレンジ色の背表紙で統一されていた。お目当だった「仮面の告白」もオレンジ色の背表紙の中にすぐに見つけた。 ボクは周囲に人がいないことを確認して…

同性愛者の性長記録<9−2>

「三島由紀夫」という有名な小説家がいる。 自分の記憶を紐解いていくと、テレビで出ているおかまキャラを除けば、一番最初に遭遇したゲイが「三島由紀夫」だった。もしかしたら地方に住んでいる多くのゲイの人たちにとっては似たような状況だったのではない…

同性愛者の性長記録<16−3>

しばらく何で寝たまま性液が出たんだろう呆然としていたけど、何だかこの行為に思い当たるものがあった。 もしかして……これが夢精なのかな? 同級生たちとの下ネタトークで「夢精」という行為があることを言葉では知っていたけど経験してはじめ本当の意味を…

同性愛者の性長記録<16−2>

ボクは柔道場で同じクラスのヨウスケ君と向かい合って立っていた。どうして2人きりの状態で柔道場にいる展開になったのか分からないけど、信じられないことに目の前に大好きなヨウスケ君がいた。 ボクは高校時代に2人の男性が好きだった。同じクラスの松田…

同性愛者の性長記録<19>

長々と書いて来たけど、ようやく大学二年に戻って来た。 本当に……いい時代になったもんだな。 ボクはアパートのカーテンを閉めてズボンを下ろして、パソコンの画面に映ったゲイ向けのアダルト動画を見ていた。ノンケ向けのアダルトビデオを、おかずにした時…

同性愛者の性長記録<18>

ボクはテレビのリモコンを手に取った。そして勇気を出して有料チャンネルのボタンを押した。すると予期していたが直ぐに裸の女性が画面に現れた。ボクは少し目を背けつつも次々と有料チャンネルを変えていき、ある有料チャンネルで停止した。そして部屋のカ…

同性愛者の性長記録<17>

えぇ! なんで急に裸の女性が出て来たの? ボクは慌てて手元のテレビのリモコンを見た。自分が押したと思われるボタンを見ると、「有料チャンネル」と記載されていた。テレビの中では綺麗な女性がドアップで映っていて、激しく声をあげて若い男性とセックス…

同性愛者の性長記録<16>

もちろんN君の写真を見ながらニヤニヤしているだけでなく、その写真をおかずにした時もあった。おかずにする時は、本や物差しで写真上からN君以外の邪魔な二人を排除してからだ。それは……好きな人の写真を持っていたら、当然の帰結な訳でその辺りは許して欲…

同性愛者の性長記録<15>

ボクは家に帰って封筒からこっそりとN君の写真だけを取り出して、本棚にある滅多に開かない参考書の間に挟んでおいた。もし母親に写真を見つかっても、ボクがその写真に写っている男の子のことを好きだなんて思わないだろうし、「何だろ……この写真? 誰かに…

同性愛者の性長記録<14>

当時はただ単純に好きな人の写真を手元に置いておきたいというくらいの願望だった。まさか……いきなりおかずにしようなんてことは考えてもいなかった。誰にでも「好きな人の写真が欲しい」って同じような願望は持つと思う。ただ……ボクの場合は、好きになった…

同性愛者の性長記録<13>

ここで少し中学時代にまで時間を遡ることになる。 今まで散々とアニメや漫画のキャラクターをおかずにしてきた恥ずかしい話ばかり書いていたが、ようやく実在の人間についても話をしていく。前にも書いた通り、性の目覚めとともにボクはアニメ雑誌を使ってア…

同性愛者の性長記録<12>

その古本屋で同人誌に出会ってからというもの、ボクは学校の帰り道に古本屋に立ち寄っては、こそこそと同人誌コーナーから本を取り実用書コーナーに移動して、こっそりと立ち読みを繰り返していた。 そんな高校三年生のある日の夕方のことだった。 学校から…

同性愛者の性長記録<11>

ボクが初めて同人誌を手にとった高校時代には、まだBLという言葉も流行っていなかった。ボクがBLという言葉を初めて聞いたのは大学生になってからだ。 ボクはその本を持ったまま、ほとんど人が来ない実用書コーナーに移動した。そして本を開いてじっくりと内…

同性愛者の性長記録<10>

田舎で育ったボクはそもそも「同人誌」というものを全く知らなかった。その同人誌がある棚の前で立ち読みしている人を見かけたことはあるけど、女性ばかりだったのでボクには縁のない棚だと勝手に思い込んでいた。 ボクが手に取った本は原作をもとに独自に創…

同性愛者の性長記録<9>

さて……H書店には本当に同性愛者向けの本があったのだろうか? 今となっては確認する術もなくなってしまった。それはボクが社会人になってからH書店が潰れてしまったからだ。ボクがH書店に入ったのは、その一回きりだった。裸の女性がプリントされたエロ本に…

同性愛者の性長記録<8>

ボクは瀬戸君の側に行って、彼がどんな雑誌を読んでいるのかそっと覗き込んだ。雑誌には水着姿の綺麗な女性がいた。彼はボクの方を一瞥したけど嫌がる素振りも見せないで、一緒に見ていることを気にすることもなく集中して雑誌を見ていた。 瀬戸君は何を考え…

同性愛者の性長記録<7>

瀬戸君と向かうH書店の軒先では、休日にも関わらず朝早くから立ち読みをしている人が沢山いた。もちろん立ち読みしているのはエロ本だ。定年を過ぎたおじさんや、日曜にもかかわらずスーツを着ているサラリーマンらしき人、そして高校生らしき学生が立ち読み…

同性愛者の性長記録<6>

次の日曜日、ボクはH書店の近くにあるCDショップに来ていた。そわそわと落ち着かない気持ちで、窓から外に目を移すとH書店の軒先が見えた。 H書店に入ってみたい……でもその勇気が持てないな。 ボクがそう思いながらCDショップを不審者のようにウロウロしてい…

同性愛者の性長記録<5>

さて、少しだけ話は進んで中学時代を卒業して高校一年になる。 「そういえば……神原って『H書店』って知ってる?」 教室で同級生と雑談をしている最中、突然にそんなことを言われた。 「H書店? もちろん知ってるよ」 その書店はボクの地元では有名だった。有…

同性愛者の性長記録<4>

そんな訳で、ボクは夜になると自室にこもってアニメ雑誌を並べて夜のオカズにしていた。 きっと今の子供たちからすれば、何でこんなことをしているのか分からないだろう。今の子供たちはインターネットがあるから、すぐにゲイ向けの画像や動画も見れる。それ…

同性愛者の性長記録<3>

そういば、こんなことがあった。 ボクがぐっすりと眠りの世界に入っていると、カーテンを開ける音が聞こえた。 「たかおみ。朝よ起きなさい!」 朝になって母親がボクを起こしに来たのだ。 「う〜ん。むにゃむにゃ」 ボクは寝起きがとてもいい。布団からすぐ…

同性愛者の性長記録<2>

そもそもボクにとって「同性愛への目覚め」と「性の目覚め」は、中学一年生と時期もほとんど同じだった。確か「同性愛への目覚め」が少しだけ早くて、すぐに「性の目覚め」がやってきた。 もちろん最初に「おかず」にしたのも同性が相手だった。ただ「同性愛…

同性愛者の性長記録<1>

ボクの目の前では裸の男性同士が激しくセックスをしていた。 これは凄いや…… ボクは唾を飲み込んで興奮しながら二人の様子を見ていた。生まれて初めて男同士でセックスをしている姿を見てしまった。今まで自分の頭の中の妄想だけでしかなかった世界が目の前…