ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

絶対に会えてよかった<58>

ボクは当時、自分のことを「ウケ」だと認識していた。そして彼の方も自分のことを「ウケ」だと認識していた。だから「ウケ✕ウケ」の関係になった。

そうなると自然に特に過激なことを行われることなく、会話を楽しみながら抱き合ったり、キスしたり、触り合いしていた。地元にいても同性を接触する機会が全くない彼にとっては、それだけで満足だったようだ。「やっぱり女性より男性と寝るほうが気持ちがいい」と言っていた。

そしてボクの方はと言うと、昔好きだった先輩と共通点が多い彼に対して、好きだった人の面影を重ねていた。目の前の彼と昔好きだった先輩を重ねて寝ていた。まさに代償行為というやつだった。

「もしかして……俺と高校時代に好きだった先輩に重ねてくれてるの?」

と、指摘されて「はい。そうです」と照れながら正直に言った。彼は「嬉しい」と言っていた。

しばらく抱き合っていると、彼は会話の途中で、何か言いたそうな雰囲気を出し始めた。

ボクは「どうしたんですか?」と質問すると、何かとても言いにくそうな顔して「何でもない」と言った。しばらく抱き合っていると「うーん。ちょっとだけいいかな?」と言いにくそうな顔をして言った。

「すごく言いにくいことなんだけど……」
「はい。なんですか?」

一瞬だけ「やっぱり寝るのが嫌になって断られるのかな?」と思った。

「一つお願いしたいことがあるんだけどいい?」
「はい。いいですけど」

一瞬だけ「キスは嫌だとか一緒に寝ていて気に入らないことがあるのかな?」と思った。

「もし……君が嫌だったら断ってね」
「はい。なんですか?」

一瞬だけ「あれ……これどっかで見たような流れだぞ?」と思った。

「やっぱり恥ずかしいな……」
「大丈夫ですよ。ボクにできる範囲のことはしますよ」

なんとなく嫌な予感を感じながらも明るい調子で言ってあげた。彼は躊躇いながら立ち上がって、クローゼットの中から鞄を取り出してきた。

一瞬だけ「あれ……これやっぱりどっかで見たような流れだぞ?」と思った。

そして鞄の中から何かビニール袋を取り出した。中身には何が入っているのか分からなかった。

「君は何か服を着たりすのは大丈夫?」
「えーと……着る服によります」

一瞬どころか間違いなく「以前も似たような流れに出くわした」と思った。

「これなんだけど……」

そう言って彼は顔を少し背けながらボクはビニール袋を渡してきた。ボクは恐る恐る袋を開いて中身を確認した。

<つづく>