過去との決別<2>

 彼女なんていないし、今も男好きは治っていない。そもそもなんで中学と高校時代に堂々とカミングアウトしていたのか自分でもわからない。

「神原って◯◯君がカッコイイ!とか可愛い!とか公言してたよね?」
「そういえば◯◯君から神原とよく目があうから怖いって相談受けたことがあるよ。◯◯君好き!って、皆に言うからクラス全員が知ってたけどね」

 あぁ〜馬鹿馬鹿!なんでそんなアホなことを公言してたんだろ。

「とにかくボクの男好きの趣味は終わったから!彼女もできたよ!」

 次々と質問攻めにあったけど、ビールを飲みアルコールの力を借りながら、ひたすらポーカーフェイスを装いながら否定し続けるしかない。

「神原の一番凄い発言が松田で抜いた!とか言ってたことだよね」

 思わずビールを噴き出しそうになるのを抑えた。そういえばそんなことを言ったよね。集まった同級生の中に、凄い発言対象の松田君がいた。昔と変わらず積極的に話すわけでもなく、静かに皆が話すのを聞いていた。ボクが同級生に会いに来たのは、カミングアウトを打ち消すことと、もう一つ松田君に会うことだった。

「松田も神原から抜いたとか言われてどう思ったの?」

 突然、話しを振られた松田君はかなり困った様子だった。

<つづく>