差別の境界線について思うこと

 今日は同性愛関係とは、ほとんど関係ない話を書いていきます。

 最近、晩御飯を食べながらyoutubeに掲載された『笑点』の過去の動画をChromeキャストでテレビに映して見ている。なんで今更、笑点の動画を見ているのかと訊かれれば、以前にサイト内でも書いたけど、『春風亭昇太』が割とボクの好みのタイプだからだ。まさか20歳以上も年上の人に対して、

 この人……好みのタイプだな。

 そんな感情を抱いたのも驚きだった。

 いきなり話が逸れてしまうけど、4年くらい前に有料ハッテン場である人から誘われて断ったことがある。その断った人から「じゃあ。君の好みのタイプはどんな人なの?」と質問されて、まさに質問された時、ボクの側を好みのタイプの男性が通り過ぎて行った。年齢は30代後半くらいの細身で眼鏡をかけた真面目そうな感じの男性だった。ボクは「あの人です」と小さな声を出して指を刺した。その瞬間だった。

「マジで?」
「うそ?」
「はぁ?」

 誘いを断った人だけじゃなく、ボクらの会話を壁にもたれかかって聞いていた2人からも驚きの声が上がった。

「いや〜あの人って(店内にいる客の中で)一番イケてないでしょ?」
「あれはないわ……」
「気持ち悪い感じがするよね」

 ボクは彼らの言葉を聞いてショックを受けた。彼らはそのまま話しを続けた。

「あれはブサイクだよね」
「わかった! もしかして君ってブサイクな人が好きなの?」
「そうか……ブサイクが好きなのか」

 ボクは3人から憐れみのような目で見られてしまった。

「いやいや! 人の好みってそれぞれじゃないですか?」

 そう抗議した。でも3人は「変人」を見るかのような憐れみの目で見ながら、ボクを残してその場から逃げて行ってしまった。

 あの人……イケてると思うけどな……酷いこと言うよな……

 ボクは暗い廊下に独りで残されて心の中で思った。どうやらボクの好みのタイプはゲイ界隈の中では珍しいようだ。「人のことをブサイクなんて言う前に自分の顔を見てよ」と言いたいけど、その言葉がそのままボクにも返ってくるのは分かっていた。ただ彼らから罵倒されながらも、人の好みってそれぞれで興味深いと思っていた。 

 本題から逸れてしまったけど、話は元に戻る。

 ボクは春風亭昇太が好みのタイプなので『笑点』を見始めた。でもどちらかと言うと、春風亭昇太が司会の時代よりは、桂歌丸が司会をしていた時代の方が好きだ。それは彼らが仲間内で罵倒しまくっているからだ。それぞれキャラクターは決まっていて、大体こんな感じのようだ。

 桂歌丸……………ハゲ。じじい。
 三遊亭小遊三……泥棒。下ネタとか卑猥ネタ多い。
 三遊亭好楽………暇。仕事なし。笑いなし。
 林家木久扇………バカ。ラーメン屋。
 春風亭昇太………一人者。チビ。独身。
 三遊亭円楽………腹黒。友達いない。
 林家たい平………恐妻家。冷えた家庭。
 
 もっと細かく書くこともできるけど大体はこんな感じだ。

 この中で、ずっと個人的に気になっていたのは「林家たい平」だった。

 この林家たい平という人は、かなりの頻度で「おかまの仕草」や「おかまの喋り方」をして笑いを取っている。司会の桂歌丸が「気持ち悪い!」と言って、座布団を取ってしまうパターンが完成している。林家たい平のおかまを笑いにするパターンは、観客からのウケもいいようで、本人も気に入ってやっているようだった。桂歌丸の反応がうまいのも面白い理由だと思う。ボクも見ていてクスクスと笑ってしまうことが多い。

 そのやり取りを見ていて、ずっと前から不思議に思っていた。

 なんで全く嫌な感じがしないんだろう……
 
 やっていることはそんなに変わらないと思うのに、少し前に炎上していた「保毛尾田保毛男」との違いは何だろうと興味深く見ていた。そもそもよく考えて見ると、上に書いたそれぞれのキャラクターの付けも酷いもので「ジジい」、「バカ」、「一人者」など普通に聞いたら、「差別」のオンパレードな発言ばかりで批判されてもおかしくないのに、なんで『笑点』という番組では、それが嫌な感じがしないんだろうと不思議に思った。ボクが桂歌丸が司会の『笑点』の方が好きなのか、この「差別」のオンパレードな発言で罵倒しあっているからだ。

「笑い」の中に「差別」って要素は必要なのかもしれない……と思うことがある。

 ただ時代の流れのせいなのか、最近は、林家たい平も「おかまの仕草」や「おかまの喋り方」をして笑いを取らなくなった。ボク個人としては、やってもらっても構わないんだけど時代の流れが許さないのかもしれない。
 
 話はさらにそれる。

 昨年の4月に、天神の三越で開催されてた『笑点 放送50周年記念特別展』に行ってきた。たまたま別の展覧会で天神に行った帰り道についでに寄ってみた。その特別展で『笑点』の過去放送のダイジェストが流れてたんだけど、席に座っている年配のお客達が爆笑している姿が印象的だった。見知らぬ人同士でお腹を抱えて笑いながら話していた。

 インターネット上では「笑点は事前に脚本がある」と批判的なコメントをする人がいる。

 お腹を抱えて笑いながらボクの肩を叩いてくるお婆ちゃんを見ながら、「この人たちに取っては、そんな批判は関係ないだろうな」と思った。なんだか笑っているお婆ちゃんの顔が見ているとボクも幸せな気持ちになれた。