ゲイショップの思い出<2>

ボクが初めてゲイ向けのアダルトショップに行ったのは大学時代だった。

ここで言うゲイショップについて補足しておくけど、例えば有料ハッテン場の受付近くにあるアダルト商品を扱っているスペースではなく専門ショップのことを指している。

ボクの大学時代と言えば場所は「京都」になる。

「そういえばあの店ってまだあるのかな?」

ボクは彼と電話で話しながらインターネットで検索していた。

「京都 ルミエール ゲイ」

とキーワードを入力して検索ボタンを押した。

そして表示された検索結果を見て驚いてしまった。

とっくに店は潰れてしまったと思っていたけど、当時と同じ位置のまま店は経営していることを知った。京都市内唯一の有料ハッテン場だった『サポーター』は大学を卒業して数年後には潰れてしまったことは知っていた。ほとんど同時期ぐらいに『ルミエール』も潰れてしまっているものだと勝手に思い込んでいた。

あの店がオープンしたのは15年以上前なのに、まだ同じ場所にあったんだ……

ボクはホームページ内の住所をコピペして、グーグル・マップで河原町通りの地図を見ながら、当時と同じ場所に店があることを確認した。

「なんだか懐かしいです……」

そんな言葉を電話越しで彼に向かってつぶやいていた。

この『ルミエール』のある河原町通りの一帯は、ボクにとって懐かしい場所で溢れていた。

河原町通り沿いの『ルミエール』のある位置から少し南に『デイリーヤマザキ 河原町松原店』がある。

初めて有料ハッテン場に入ってみようと決意して河原町まできたものの、やっぱり勇気が出なくて、この付近をうろうろしていた。ビルの前を何度も歩いていて、ビルの裏の高瀬川沿いも何度も歩いて行ったり来たりしていた。そして最後にこのコンビニに入って「やっぱり今日は諦めて帰ろう」と決めて家に帰ったのを覚えている。

同じく河原町通沿いに『セブン-イレブン京都河原町高辻店』がある。

このコンビニについては過去の文章でも書いている。初めて有料ハッテン場に入る際に、店に入るのが怖くて勇気が出なくて、このコンビニで立ち読みをする振りをしていた。そして立ち読みをしながら向かいのビルにあった『サポーター』の様子を伺っていた。そのビルに入って行く人を見かけて、急いで信号を渡ってエレベーターに駆け込んだのを覚えている。

そして『ルミエール』のある位置から少し北に『カレーハウスCoCo壱番屋 下京区四条河原町店』がある。

最後に『サポーター』に行って店を出た後に、空腹だったので立ち寄ったのを覚えている。大学卒業が決まっていて「これでもう『サポーター』に行くことはないよね」と思いながら、店から通りを眺めたのを覚えている。こういった店には、ほとんど行かないので、ご飯の量や辛さなど、どうやって注文するんだろうと悩んだのも覚えている。

「まだこのコンビニがあったんですね……」

もう15年以上も前のことだ。とっくに街並みは変わっていると思っていたのに、地図を見ているとあの時と同じままの店が沢山あって驚いてしまった。

ボクの大学時代からのゲイとしてのデビューは、野外のハッテン場。有料ハッテン場。ゲイショップの順番になる。

一番最後がゲイショップになったのには理由があって、そもそも京都にはああいったゲイショップなるものが存在しなかったからだ。

このゲイショップは大学を卒業する間際ぐらいにオープンした。

<つづく>