絶対に会えてよかった<1>

これまでいろんなゲイの方と出会ってきた。

振り返ってみると、大学時代にゲイの世界に踏み入れてから、何十人ものゲイの方々と出会ってきた。

今まで書いてきた文章を読んでもらえれば分かると思うけど、ボクは誰かと話をするのが好きだ。

例えば有料ハッテン場で行っても話だけして店を出ることもざらにあった。出会い系の掲示板を経由して誰かと会っても、話だけして別れることもざらにあった。そんなに肉体的な関係を持つことを重視してなくて、結局は家に帰ってから、ゲイ動画を見て、後処理することなんてざらにあった。

これまでにも出会ってきたゲイの人たちについて沢山書いてきたけど、それよりももっと細かいレベルで書きたい話が沢山ある。この章では「短編集」のような形で、今まで出会ってきた人たちについて書いていきたいと思う。

いい人もいた。ひどい人もいた。

それは別にゲイの人に限ったことではないだろう。

ただ、ボクは今までに会ったゲイの人で「会わなければよかった」と思う人はいなかった。

もちろん、ある人と会ってから「会わなければよかった」と思う人はいた。でも時間が流れてくるについて、ボクの中では「会わなければよかった」から「会えてよかった」に徐々に変わっていった。嫌なことや傷つくことも言われてきたけど、時間が過ぎ去ってしまえば、なぜか許せてしまう自分がいた。「過去に会った人ついて、とやかく文句を言うのはよくない?」と思う自分がいた。

このサイトで『出逢いたくなかった人』というタイトルで文章を書いた。異常な時間帯に異常な件数で異常な内容のメールを送ってきた困った人だった。でもそんな人ですら、タイトルには反しているけど最後には「会えてよかった」と思っている自分がいた。

今も「この人と絶対に会えてよかった」って思うくらいの気持ちで誰かと会っている。

これから書く文章は、今までと違って、いつの時代に、どこの街で会ったのかなど、詳細に書かないようにする。もし書いていても、そこには嘘が混じっているかもしれないと、あらかじめ断っておく。「どうしてそんなことをするの?」と問われれば、もしかしたら彼らは今も同じ街で、同じようなことして暮らしているかもしれないからだ。

それとこれから書く人たちは、このサイトを始めるまでに出会った人に限定して書くことにする。このサイトを書き初めてから会った人たちについては書かない。ただ既に会っている人たち、八王子駅や天神駅や博多駅で会った人たちは、素敵な人たちばかりだった。

前置きが長くなってしまった。

大切にしまってきた思い出の引き出しを開けて、さて……どの人のことから書いていこうかな?と、悩みながら楽しみながら書き進めていこうと思う。

<つづく>