ぼくは不安です

職場では障害を持った人たちを清掃員として雇用している。その清掃員の中で、すれ違うと必ず挨拶をしてくる20代の男性がいる。少し前に、給湯室を兼ねている休憩室に入ったところで、その清掃員の男性がノートを広げて日報を書いていた。真剣な顔をしてノートに文字を書き込んでいる。カップにお湯を注ぎながら、その人に視線を向けたところでノートに書かれている文字が目に入ってきた。

 

「ぼくは不安です」

 

そう大きな文字でページ一杯に書かれていた。僕は気になりながらも声をかける勇気がなく部屋から出ていった。最近、その男性は挨拶をしてくれなくなった。体調が悪いのか廊下ですれ違っても、掃除することもなく、落ち着きがなくフラフラしている。僕は「この人と関わってみたい」と感じながらも「自分には何もできない」とも感じて声をかけることができない。