映画『カミングアウト』の感想
- アーティスト: 高橋直人
- 発売日: 2015/06/05
- メディア: DVD
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映画『カミングアウト』をようやく見終えた。
三週間くらい前に勇気を出して購入して、たった90分の映画なのに鑑賞を終えるまで三週間近くかかってしまった。決して映画がつまらなかった訳ではなくて、主人公と自分とを重ねて見てしまうからだ。ネタバレを含むけど、簡単に内容を説明すると、ゲイの主人公が同級生の友達に恋をしていて、カミングアウトするか悩んだ挙句、ゲイバーの仲間に後押しされながらも、姉、友達(恋人)、両親の順番にカミングアウトしていく。最後にカミングアウトした両親は、どう受け入れていけばいいのか戸惑ったまま映画は終わっていく。
ボクはこの主人公と逆だと思った。この映画の主人公は大人になるにつれて、カミングアウトしたいという願望が高まっていったけど、ボクは中学時代に、あっさりとカミングアウトしてしまい大人になるにつれて、自分が同性愛者であることを隠したいと思うようになっていた。大人になってからカミングアウトしたのは唯一人だけだ。今後も両親にもカミングアウトするつもりもないし、そもそもカミングアウトしたいという願望がない。
一度言ったことは取り消せないんだ
これは映画の中で主人公が心の中でつぶやいた言葉だ。
ボクにとってはこの言葉が重たかった。カミングアウトすることの重大性に気がつかないまま自然にしていた。中学時代にカミングアウトして、学校中に知れ渡ってしまい、うんざりしてしまった。その噂が高校時代にもなると、自分の両親にも伝わるのではないかと怯えて、夜も眠れない日があった。
なんでカミングアウトしてしまったんだろう……
電気を消した真っ暗な部屋の中で、ずっと独りでそう後悔していた。この主人公はカミングアウトしたくて暗い部屋の中で独りで悩んでいた。ボクとは逆だった。ボクはカミングアウトしたことを隠す選択をして、この主人公はカミングアウトすることを選択していた。もっとカミングアウトすることに真剣に向き合ってからすれば、ボクの人生も違っていただろう。
結局、ボクは実家から離れる決意をした。もうあんな思いは二度としたくない。
それと根本的にボクがカミングアウトしたいという願望が湧かないのには、もう一つ理由がある。実は前にも少しだけ書いているんだけど、一連の本編の最後に書くつもりなので、ここでは伏せておく。恐らくいつかは書くことになると思う。ボクがその理由に気がついたのは、歳をとって、もっと自分の性格がわかるようになってきた転職後のことだ。
映画の話に戻すと、この主人公のように彼女がいると嘘をつくのは、ゲイであることを隠すのによく使う人がいるだろう。ボク自身もそうだった。 ただ……この嘘はボロを出さないようにするのに非常に疲れる。
こっからがスタートだからね
最後にカミングアウトして主人公が言ったセリフだ。カミングアウトすることは終わりではなく始まり。本当にその通りだと思う。主人公はカミングアウトすることを選択した。ボクはカミングアウトすることから逃げてしまったけど、でも自分の選択には後悔していない。