ゲイブログを書く前後<16>

 この人……ヤシュウっていうのか……

 

 確かヤシュウさんのサイトのどこかの文章に書いてあったけど、ほぼ同じ年齢だったはず。文系出身で就職氷河期で就職先が見つからずシステムエンジニアになっていることなどボクとの共通点が多かった。

 それにしてもゲイブログを書いている人は、どんな意味があって、ハンドルネームをつけるんだろう。

「ヤシュウ」というハンドルネームを見て、すぐに頭に思い浮かんだのは、「夜襲」という言葉だった。もしかしたら氏名から一部の言葉を抜粋してつけたのかもしれないけど。ちなみにボクの「神原隆臣」という名前もハンドルネームだ。過去に好きになった同性の4人から1文字ずつ借りて、適当に混ぜてみたら、こんな名前になってしまった。

 あぁ……やっと同じ年齢の人を見つけたな。

 ボクは彼のサイトの文章を読みながら、ほっとしていた。なんとなく今のボクと似たような境遇だと感じていた。

 もしかしたら……この人ならボクの体験を共感してくれるかもしれないな。

 そう思った。そして夜な夜なヤシュウさんに夜襲される妄想をしていた。

 ヤシュウさんのサイトの更新頻度は高くなかった。でもボクと同じ年齢のゲイの人が、先にはてなブログを書いてくれているというだけでも、なんだか心強い気持ちになれた。
 
 そんなある日のことだった、そのヤシュウさんがボクのサイトに読者登録をしてくれて訪れてくれてくれることが分かった。ほぼ毎日ボクのサイトに訪れてくれて、はてなスターをつけてくれていた。

 きちんと君の文章を読んでるよ。

 そんな感じで1つだけスターをつけてくれていた。この時期、文章を書く上で、すごく悩んでいたことがあった。何に悩んでいたのかは後で書くけど、そんな気持ちを奮い立たせてくれたのがヤシュウさんだった。サイトを始めたばかりにボクの文章は、このヤシュウさんとchunkさんに読んで欲しくて書いていた。

 少し話がそれるけど、ボクは今年の春に「ある場所」に行こうと思っている。そのきっかけを与えてくれたのもヤシュウさんだった。そのことはいつかまた書くことになると思う。

 このゲイブログを続けていく上で、同じくゲイブログを書いている人で大きな影響を与えてくれた人が3人いる。1人目はこのサイトを始めるきっかけを作ってくれたchunkさん。2人目はこのサイトを続けていく力を与えてくれたヤシュウさん。3人目は夏頃に現れるので、もう少し後で紹介する。

 ボクは文章を書いていて恥ずかしくなってゲイブログを削除したくなる度に、「同じ年齢のヤシュウさんもゲイブログを立ち上げて文章を書いてるんだ。それにヤシュウさんがボクの書いた文章を読んでくれてるんだ」と自己暗示をかけて文章を書き続けていた。

<つづく>