絶対に会えてよかった<102>

僕は過去に出会ったゲイの人たちのことを文章に書き始めていた。

 

今まで出会った来た人たちのことを忘れないように自分の記憶に刻み込みたいと思った。それにゲイの世界にある別の側面についてもっと広く知って欲しいと思った。

 

そして、いつか僕の書く文章に共感してくれる人が目の前に現れてくれるのを持っていた。

 

2018年の8月中旬の夜。

 

僕はある人と大濠公園の湖の中道を歩いていた。このサイトを通して知り合った人だった。二人で思っていることをポツポツと語り合っていると、ふいに彼は、ある「言葉」を語り出した。僕はその言葉を聞きながら心の底から嬉しくなった。

 

大学時代から多くのゲイの人たちと会ってきた。

 

そして最初の頃から、ずっと疑問を抱いてきたことがあった。

 

彼が語ってくれた言葉は、僕が大学時代からゲイの世界に足を踏み入れてから、ずっと心の中で思ってきたことだった。

 

僕はやっと同じ問いかけを持っている人と出会うことが出来た。

 

まさかゲイの世界に足を踏み入れて間もない彼から、その言葉を聞くことになるとは思わなかった。いや彼自身がゲイの世界に足を踏み入れたばかりだったからこそ語ることができたのかもしれない。その言葉は聞く人によっては気分を害する可能性があった。話しかけている彼自身は、そこまで深い意味で話している訳ではないようだったけど、でも僕にとっては大切なものだった。

 

僕はずっとその言葉を言ってくれる人が目の前に現れるのを待っていたのかもしれない。

 

自分が書いてきた文章を読み返すと、文字として書いてはいないけど、その言葉がいたるところに散りばめられていることに気がついた。もしかしたら僕の書いた文章に共感してくれる人たちは、ちゃんと本人意識しているかは別だけど、漠然とだけど同じ言葉を胸に抱いているのかもしれなかった。彼は僕が書いた文章を読みながら、書かれていない言葉を読み取っていて、僕にならその言葉を話してもいいと思ったのかもしれない。

 

今まで同性愛の人と結ばれることに罪悪感があった。でも彼と出会ってから罪悪感を感じなくなっていた。

 

初めて会った時から、ゲイ以外の細かな側面での生き方や考え方の共通点が多い人だとは感じていたけど、彼とならゲイの側面も含めて、2つの側面についても一緒に協力して生きていけると思った。

 

<つづく>