「この文章を書いていた数か月間、今から思い返すと新しい道を見つけたくて必死だった」
この時期、福岡市主催のLGBTシンポジウムを皮切りに、熊本のパレードに行って、どんたくのパレードにも行って、その後、東京レインボープライドに行った。僕が一番活発に活動していた時期だった。他にも、このサイト内で書いていない細かなイベントや場所にも顔を出していて暗中模索の日々が続いていた。ただ、そういったイベントに顔を出しながら、どこか違和感があった。
僕は立ち止まって考えるよりも、体を動かしながら同時に考える方が性に合っている。行動しながら「自分にとってどんな生き方が性に合っているのか?」を探していた。
このシンポジウム以降、福岡で初めてパートナーシップ制度が導入された。僕は福岡市に住んでいないので、そもそもパートナーシップ制度は使えないけど、もし導入された自治体に住んでいて何らかの経済的に控除がされるのであれば制度の利用を考えてもいいかもしれない。最近、街中を歩いているとLGBT講習会の開催ポスターを見かけるようになった。僕が住んでいる街の市役所や、ある団体が「LGBTに関する理解を深めよう」という目的で開催しているようだ。このシンポジウムで登壇していたパネリストの方もよく講習会に呼ばれているようだ。
僕自身は誰かと共同して活動するのは向いていない。
皆で一緒に活動して何かを発信するからこそできることもあるだろうけど、一方、独りだからこそできることもあるように思っている。皆で一緒に立つのではなく、一人で立つことの意味もあると思っている。それに僕は中心に立つよりも、どちらかと言えば人の輪の端っこに立っている方が好きだ。これから先も僕は人間関係の輪の中心に立つことはないだろう。人間関係の輪の中心になっている人もいれば、その輪の端っこに自ら進んで座っている人がいてもいいだろう。そして輪に入ろうか迷っている人。輪の中にいて疲れてしまった人。輪から弾かれてしまった人。輪から外に出ていくことを決めた人。そんな人たちが一休みできるような位置にいたい。ふと思い返せば、僕はゲイの側面に限らず今までずっとそんな生き方をしていた。
橋渡し役
それがいくつかイベントに顔を出してみて感じた自分なりの結論だった。
この章も、そういった橋渡し役の一つだと思っている。